2019年6月27日、世界経済を揺るがす米中貿易戦争が、私たちの生活に不可欠なスマートフォン市場に深刻な影響を及ぼし始めています。特に、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)と米巨大IT企業アップルのサプライチェーン(供給網)は、日米韓の企業に大きく依存しており、米国による対中関税「第4弾」の発動と禁輸措置の拡大は、その安定性を根底から脅かしている状況です。
驚くべきことに、ファーウェイの最新スマートフォンを分解調査したところ、金額ベースで約5割もの部品が、日本・米国・韓国の企業から供給されていることが判明しました。さらにアップルの場合、この日米韓への依存度は8割近くにまで達しています。つまり、私たちが日頃手にするハイスペックなスマートフォンは、中国での組み立てを基軸としながらも、実はグローバルな協力体制によって成り立っていると言えるでしょう。この複雑で高度に最適化された供給網が、今、政治的な緊張によって分断の危機に瀕しているのです。
🇺🇸米国の「禁輸措置」がファーウェイを直撃!売上3.2兆円減の試算も
米国は2019年5月、安全保障上の懸念を理由に、ファーウェイに対する米製品の事実上の禁輸措置を発動しました。この強力な締め付けによって、ファーウェイのスマートフォン世界販売台数は、2019年だけで約2割(4,000万台)減少する見込みだとされています。さらに、今後2年間で売上高は約300億ドル(当時のレートで約3兆2,000億円)もの大打撃を受けるとの試算も出ており、その深刻さが窺えます。禁輸措置とは、特定の国や企業に対して、製品や技術の輸出を禁止・制限する経済的な制裁措置のことであり、ここではファーウェイが米国の高性能部品やソフトウェアを利用できなくなる状況を指しています。
これに対し、SNSでは「ファーウェイのスマホはコスパ最強だったのに、この状況は残念すぎる」「技術的な内製化を進めても、高性能な部品はまだ米国に頼らざるを得ないのが現実なのか」といった懸念の声が広がっています。また、「米国の制裁はやりすぎではないか」「自由な市場競争が損なわれる」といった、米国の政策に対する批判的な意見も散見され、世界中のユーザーがこの動向を注視している様子がうかがえます。
📱関税「第4弾」がスマホ価格を押し上げ!iPhone XSが1.6万円値上がり?
さらに懸念されているのが、米国が計画する対中関税「第4弾」です。この関税品目にはスマートフォンも含まれており、税率が最大25%上乗せされる可能性があります。もし発動されれば、大半の完成品組み立てを中国で行っているアップルへの影響は甚大です。米モルガン・スタンレーの試算によると、最低価格999ドルの「iPhone XS」は、関税分だけで約160ドル(当時のレートで約1万7,000円)も価格が上昇すると予想されています。
高額化はiPhoneに限った話ではありません。中国での最終組み立てを経るスマホ全般に影響が及ぶことで、市場全体が縮小し、ひいては日米韓の部品・組み立て企業にも深刻な影響が波及するでしょう。日本経済研究センターの試算では、米国が制裁を決めた中国5社の生産が滞るだけでも、日米韓台の主要産業の生産が総額9,000億円も押し下げられるとされています。
🇯🇵日米韓の部品供給構造を深掘り!複雑すぎる依存関係
調査会社フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズによるファーウェイの最新機種「P30 Pro」の分解調査結果は、供給網の複雑さを浮き彫りにしています。金額ベースで見た場合、日米韓の企業が供給する部品は全体の47%を占め、内訳は米国企業が16%(カバーガラスなどの高付加価値部品が多い)、日本企業が23%、韓国企業が8%弱となっています。ファーウェイは傘下の海思半導体(ハイシリコン)で内製化、つまり自社グループ内での部品生産を進めているものの、主要部品における海外への依存度は、いまだ非常に高いと言わざるを得ません。
アップルに至っては、さらに依存度が高く、上位機種である「iPhone XS」では日米韓企業への部品依存度が77%にも達します。特に米韓企業がそれぞれ30%を超え、日本企業も2ケタの割合を占めています。興味深いのは、アップルは中国や台湾企業への部品依存度が比較的低いものの、電子部品は米企業の設計であっても、生産は台湾企業が受託し、その生産地が中国というケースも少なくありません。国籍だけでサプライチェーンを単純化できない、非常に複雑で入り組んだ構造が存在しているのです。
🤔編集者解説:築き上げてきた自由貿易の恩恵を失うのか
2018年時点で世界のスマートフォン出荷台数は14億台、市場規模は約57兆円にも成長しました。この巨大な市場は、自由貿易のもとで国境を越えた「最適な分業」によって、高性能な製品を低コストで生産し、私たち消費者に届けることで発展してきたものです。アプリやサービスといったエコシステムも、この安定した供給があってこそ育まれました。
しかし、米中貿易戦争という地政学的なリスクは、この最適化されたサプライチェーンを「非効率」なものに変えようとしています。アップルが主要な取引先に対し、中国生産の15~30%を他国へ移すよう検討を促しているのは、その危機感の表れです。工場建設や従業員の教育には時間を要し、サプライチェーンの再構築は容易ではありません。私は、目先の政治的利益のために、世界中の企業と消費者が享受してきた自由貿易の恩恵と、数十年かけて築き上げた効率性を犠牲にすることは、長期的に見て大きな損失であると考えます。貿易の緊張が緩和され、技術開発と市場の成長が再び世界共通の目標となることを強く望んでいます。
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