🔥デジタル時代の羅針盤!「情報GDP」で世界に遅れをとる日本のデータ競争力と「おじさんデータ都市」のリアルな課題

「トロントが大混乱だ」—2019年6月のある日、北米に出張中の先輩記者から驚きの連絡が入りました。カナダ政府、州、市が2017年に発表した、世界最先端のデジタル都市(スマートシティ)構想が、住民の猛反発に遭っているというのです。この計画は、米アルファベット(グーグルの親会社)傘下のサイドウォークラボが主導し、交通渋滞の解消や防犯のために、監視カメラなどで住民のデータを収集・活用しようとするものでした。

しかし、「プライバシー侵害だ」「押し売りはイヤだ」と、住民の抵抗は強烈でした。2019年4月には市民団体が市などを訴える事態に発展し、計画の雲行きは怪しくなる一方でした。世界各地では、データ活用によって交通、医療などの住民サービスを効率化する試みが進んでおり、社会問題を解決する「切り札」として期待されていましたが、その実現には大きな壁があることを示唆しています。

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🤔日本の「データ都市」は幻想なのか?福井県鯖江市の意外な実態

スマートシティは、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)技術を活用し、都市の機能やサービスを最適化・効率化する街づくりの概念です。社会問題の解決や経済成長に繋がるとして注目されています。このスマートシティへの取り組みは日本でも例外ではありません。記者(33歳)は、地元の福井県にある「データ都市」を名乗る街、鯖江市を訪れました。

鯖江市では、市長と地元のIT(情報技術)企業が連携し、バス情報、川の水位、さらには熊やサルの出没情報まで、約200種類の行政データを公開し、企業が自由に使えるようにしています。特に、サルや熊の出没は集団下校に繋がるため、子どもを守る上で重要なデータ活用とされていました。実際に、市の公開データをもとに、バスの走行位置や乗車人数がリアルタイムでわかる便利なスマホアプリも開発されていたのです。

ところが、鯖江市で出会った人々の反応は、市の熱意とは裏腹に冷淡でした。下校中の女子高生2人は「アプリ使わない。バス乗らないし」と興味を示さず、市役所が自慢する子育て情報アプリについても、公園にいた子連れのお母さん2人は「何ですかそれ」と顔を見合わせる有様でした。この実態に、「データ都市は幻想ではないか」という疑問が頭をよぎりました。

このため、記者は鯖江市の人口約7万弱の千分の一にあたる70人を対象に、「データ都市を知っているか」「データから生まれたアプリを使っているか」というアンケート調査を3日間かけて実施し、「街の縮図」を調査しました。その結果、判明したのは、国内随一のデータ都市とされる鯖江市の、極めて意外な実像でした。流行に敏感なはずの若者や女性が、データ活用にほとんど見向きもしていなかったのです。

驚くべきことに、調査した女子高生6人全員が「アプリを使わない」と回答し、女子大生や小学生も同様の傾向が見られました。一方で、40歳以上の男性は14人中10人がアプリを愛用していることが明らかになったのです。まるで鯖江市は、「おじさんのためのデータ都市」ではないか、というのが記者の見解です。この現状は、データ活用サービスが、一部の層にしか届いていないことを示しています。

💡日本のデータ競争力を測る指標「情報GDP」とは?11位という厳しい現実

こうした状況の背景には、日本の国際的なデータ競争力の問題があると考えられます。後日、記者が注目したのは、米国のグローバル経営の専門家らが提唱する「新たなGDP(国内総生産)」、すなわち「情報のGDP」です。これは、データの発生量や使いやすさなどを分析し、各国のデータ経済の規模を測定する指標として考案されたものです。

リアルなGDPでは世界第3位である日本が、この「情報GDP」では世界11位と、トップ10から脱落しているという厳しい現実が明らかになりました。最大の理由は、高齢化によってデータ活用の勢いが弱いことだと分析されています。これは、データ活用の恩恵が、鯖江市の事例のように、一部の「おじさん」世代に偏り、若者や女性といった多様な層に広がっていない現状と強く結びついているでしょう。

データ都市にふさわしい、真に「使えるサービス」を生み出すには、行政や現在の「おじさん」世代だけが頑張るだけでは限界があります。イノベーションの担い手となるべき若手起業家や学生、そして女性など、もっと多様な層を巻き込まなければ、真のデータ都市を実現することはできません。 データ活用の巧拙は、国の経済成長そのものを左右する時代です。このままでは、データ競争力において世界との差が開き続け、日本の未来にとって大きなリスクとなりかねないでしょう。

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