中国の台頭に欧州が動く!中央銀行デジタル通貨(CBDC)共同研究の舞台裏

2020年1月21日、金融界に大きな衝撃が走りました。日本銀行や欧州中央銀行(ECB)を含む計6つの中央銀行と国際決済銀行(BIS)が、デジタル通貨に関する共同研究をスタートさせると発表したのです。このニュースは瞬く間にSNS上でも話題となり、「ついに国家間でのデジタル通貨競争が本格化した」「技術覇権をめぐる静かな戦いが始まった」といった緊張感を含んだ投稿が相次ぎました。

なぜ、これほどまでにスピーディーに合意が形成されたのでしょうか。その立役者は、当時イギリスのイングランド銀行総裁を務めていたカーニー氏です。彼は2019年11月から12月にかけて、日銀の黒田東彦総裁やECBのラガルド総裁らに個別に働きかけました。極めて短い期間のうちに、「デジタル通貨の知見を共有するコアグループを作る」という方針で合意を取り付けたのです。

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中国の「デジタル人民元」という現実的な脅威

今回の共同研究の背景にあるのは、単なる技術的な興味ではありません。先行して「デジタル人民元」の実証実験を準備していた中国に対する、強い危機感が根底にあります。デジタル通貨とは、中央銀行が発行する「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」のことで、紙幣のような形を持たず、ブロックチェーンなどの技術を用いて管理される法定通貨を指します。

もし、中国がこの分野で技術の国際標準を先に確立してしまえば、決済ルールやインフラの主導権を握られる可能性があります。麻生太郎財務相も、国際決済での利用を見据えた警戒を強めていました。中国という巨大なプレイヤーが、私たちが普段使っているお金のあり方を根本から変えようとしている現実に、先進国の中央銀行側が重い腰を上げたといえるでしょう。

加速するデジタル変革と今後の展望

研究の軸となるのは、セキュリティーや個人情報保護、そして海外中銀との相互運用性といった多岐にわたる設計上の課題です。日銀の雨宮正佳副総裁も、技術革新の早さと社会ニーズの変化に対応する重要性を強調しています。このプロジェクトは、決して現時点ですぐにデジタル通貨の発行を約束するものではありません。あくまで技術的知見を共有し、将来の可能性に備えるための布石なのです。

私個人としては、この動きを「通貨の国際秩序を維持するための、当然かつ不可避な選択」であると感じます。既存の金融システムの枠外でデジタル通貨が普及すれば、各国の通貨主権が揺らぎかねません。米国FRBが今回は参加していない点や、中国への配慮からあえて公式のG7枠組みとは連動させないといった配慮には、国際政治の難しさが凝縮されています。私たちは今、お金の歴史が大きく変わる瞬間に立ち会っているのかもしれません。

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