為替と通商は不可分!米国の圧力で韓国が「為替介入実績」公開へ〜トランプ政権の真の狙いと韓国ウォンの未来〜

米国と韓国の間で、通商と為替の扱いを巡る駆け引きが大きな注目を集めています。2018年9月に両国が改定した自由貿易協定(FTA)に署名した際、米国は「競争的な通貨切り下げを避ける」という財務当局間の合意があったと発表しました。しかし、韓国側はこの点を否定し、「FTAとは別の問題である」と強く主張したのです。一見すると両国の主張は食い違っているように見えますが、結論から言えば、ソウル大学の安徳根教授は「どちらの言い分も正しい」と分析しています。

これは、米国側が長年にわたり、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で唯一、為替介入の実績を公表してこなかった韓国の姿勢を問題視してきた背景があるからです。米財務省は2018年4月の為替報告書において、韓国に対し公表を強く勧告し、これを受け、韓国銀行(中央銀行)は同年5月についに公表へと舵を切る決断をしました。米国にとっては、通商交渉の一環として為替の透明性を高めることが一体の要求だったと言えるでしょう。

一方、韓国政府としては、為替政策という経済主権の根幹に関わる部分にまで米国の介入があったと見られることを避けたい意図がありました。実際にFTAの正式な文書には為替関連の条項が盛り込まれなかったため、韓国は「FTAとは別件」だと主張したわけです。しかし、米国の圧力の視線は明確に存在しており、この透明性確保の要求は、通商問題と並行して進められていたと解釈するのが自然でしょう。

このFTA改定は、当時の米トランプ政権からの強い要求によって行われました。当初は1980年代の日本のように、貿易黒字削減のための輸出自主規制などをのまされるのではないかと、韓国国内では大きな懸念が広がっていたものです。しかし結果的に、安教授は「韓国は交渉をうまく乗り切った」との見解を示しています。韓国が実際に被った「実害」は、当初の懸念に反してほとんどなかったと評価されているのです。

トランプ大統領が「交渉はうまくいった」と自画自賛したため、他国からは韓国が厳しい条件を飲まされたように見えたかもしれません。しかし実際には、大きな変化はなかったというのが実態です。安教授は、この交渉はトランプ氏による「政治ショー」の側面が強かったのではないかと指摘します。たとえば、自動車分野において、米国がピックアップトラックに課す25%の関税撤廃が、当初予定の2021年から2041年に先延ばしされましたが、韓国メーカーは元々ピックアップトラックを米国へ輸出していません。また、輸出を計画していた現代自動車も、これを機に米国での現地生産に切り替えれば良いという判断になります。

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為替介入公表の副作用:韓国ウォンが投機に晒される危険性

むしろ、韓国にとって本当に心配すべき問題は、為替介入実績の公表を開始したことです。これは当初、半期に一度の公表からスタートしましたが、まもなく2019年7月~9月期からは四半期ごとの公開へと頻度が高まる予定です。韓国は1997年のアジア通貨危機を経験して以降、為替の変動幅が大きくなりました。一部の大企業を除き、韓国の産業界全体が為替変動に対する備えが不十分であることが、長年の課題となっています。

韓国の通貨である韓国ウォンは、米ドル、ユーロ、円といった「基軸通貨」ではありません。基軸通貨とは、国際的な決済や金融取引で中心的に使用される信頼性の高い通貨のことで、ウォンは相対的にその地位が低いため、投機的な動きに晒されやすいという特徴があります。韓国当局による為替介入は、主に「為替操作」を目的とするものではなく、ウォンの激しい乱高下を防ぐ「スムージング」が目的であることが多いのです。

しかし、為替介入の頻度と実績の公開度が高まると、投機筋に当局の介入パターンが読まれてしまう危険性が出てきます。これが、米国からの要求にもかかわらず、韓国がこれまで介入実績の公表を拒み続けてきた最大の理由でした。為替への人為的な介入は好ましくないというのが世界の「趨勢」、つまり大局的な流れであり、韓国もこの流れには逆らえません。その結果、韓国の産業界は為替管理に一層の注意を払う必要が出てきており、その負担は重くなっていると言えるでしょう。

編集者としての見解:透明性の高まりは正しい方向への一歩

国際社会において、ある国の通貨が意図的に安くなると、その国の産業の輸出競争力が高まり、結果として景気を押し上げます。その一方で、他国は供給先を奪われることになり、このような通貨安への誘導策は「近隣窮乏化策」とも呼ばれます。G7やG20といった国際的な枠組みが、このような通貨安誘導を明確に禁じているのは、その効果が大きく、国際経済の安定を損なうという共通認識があるからです。

私は、今回の米国の要求と韓国の対応は、国際社会が目指すべき「透明性」という観点から見れば、正しい方向への一歩だと考えます。先進国にとって最も重要なのは、結果だけでなく、政策を決定する「手続きの正当性」と「透明性」です。結果さえ良ければ済むという途上国にありがちな考え方とは一線を画すべきでしょう。為替当局からすれば、裁量権が減るのは不本意なことかもしれませんが、透明性の向上は国際社会から歓迎されるべき変化なのです。

現在のようにポピュリズム、すなわち大衆迎合主義が世界的に台頭する中では、目先の自国の利益だけを追い求める姿勢が強まり、「近隣窮乏化策」に近い発想に傾きがちになるのも理解できます。米国が韓国に為替介入の公表を求め、その視線の先に巨大な経済力を持つ中国を見据えているのは明らかです。このように、通商問題と為替を結びつける国際的な圧力は、今後ますます増加していくでしょう。

しかし、一歩間違えれば、その副作用は甚大です。グローバル化によって、国際金融の世界はもはや後戻りできないほど深く広がり、各国間の相互依存関係もかつてないほど強まっています。日本としても、国際社会が長年にわたり培ってきた通貨政策を巡る合意、その「意義」を、粘り強く世界に説き続ける必要があるのではないでしょうか。この複雑な国際経済の中で、通貨の安定と透明性の確保は、世界経済の持続的な成長にとって不可欠な要素であると確信するものです。

通商問題の専門家:安徳根教授について

今回、為替と通商の関係について専門的な見解を示してくださった安徳根(アン・トクグン)氏は、通商問題の専門家として知られています。ソウル大学国際大学院の教授を務める傍ら、韓国産業通商資源省の貿易委員会非常勤理事も兼任されている方です。また、2015年から2016年にかけては、同省の環太平洋経済連携協定(TPP)戦略フォーラムの議長も務めるなど、国際的な通商交渉の第一線で活躍されてきた実績を持っています。年齢は51歳です。

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