2019年5月のドナルド・トランプ米大統領(当時)の来日劇は、さまざまな話題を振りまきましたが、その最大の成果は、両国が「日米の友好関係はかつてなく緊密」であると共同宣言で再確認したことに尽きるでしょう。中国の海洋進出などにより、国際情勢が極めて不安定化している現代において、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日米両国が世界の安全保障の基軸を担う意義は、計り知れないほど大きいと言えます。
トランプ氏は、神奈川県横須賀市沖で海上自衛隊の護衛艦「かが」に降り立った際、「米海軍艦隊と同盟国の海軍艦隊が並んで司令部を置く世界で唯一の港だ」と強調されました。これは、日米同盟の強固な枠組みを日本国内だけでなく、世界に対して印象付ける、まさに格好の演出であったと言えるでしょう。「かが」は近く、戦闘機F35Bが離着艦できる事実上の空母に改修される予定であり、トランプ氏はこれを「この地域とより広い領域を複雑な脅威から防衛する」と高く評価されました。これに対し、安倍晋三首相(当時)も「地域の平和と繁栄の礎にしないといけない」と応じ、同盟の重要性を改めて訴えられました。
滞在中、トランプ氏は北朝鮮に拉致された被害者の家族とも面会し、問題解決に尽力する姿勢を示されました。さらに、日米首脳会談では、安倍首相が提唱する**「前提条件なし」での日朝首脳会談の開催を支持する考えを表明されたのです。日朝会談の実現に向けたハードルは依然として高いものの、この日米の共同歩調は、北朝鮮の金正恩委員長に対し、一定の強いメッセージとなったはずだと考えられます。
SNS上では、このトランプ氏の訪日について、「令和最初の国賓としてもてなしたのは正解だった」「同盟の重要性を再認識できた」といった外交成果を評価する声がある一方で、「過剰なもてなしは気まぐれなトランプ氏への日本側の不安心理の表れではないか」という、安倍政権の外交姿勢に対する冷めた見方も見え隠れしていました。
私自身の意見としましては、米中の覇権争いに代表される世界のパワーゲームの多くは、トランプ政権や安倍政権といった単一の時間軸を超えて、今後も長く続く課題です。だからこそ、日米が中核となり、価値観を共有する国々とネットワークを築くという国際戦略は、世界の多くの安全保障の専門家に支持されており、特定の政治家の「気まぐれ」が入る余地は本来、ほとんどないはずだと考えます。
誰が両国のトップに就こうとも、この日米同盟**という安全保障上の枠組みが揺るぎないものであり続けることこそが、アジア太平洋地域の平和と安定を担保する唯一の道です。今回の来日劇で再確認された「緊密な関係」を、単なる表層的な友好関係に終わらせることなく、真に強固な戦略的パートナーシップとして発展させていくことが、両国に課せられた責務であると言えるでしょう。
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