東芝が選んだ異例の「社外取締役8割体制」!成長戦略をめぐる株主の期待と懸念:【2019年6月株主総会を徹底解説】

2019年6月26日に開催された東芝の定時株主総会は、企業統治(コーポレート・ガバナンス)のあり方を大きく変える、異例の取締役選任案が可決され、大きな注目を集めています。取締役12人のうち、社外取締役の数が従来の7人から10人へと大幅に増加し、その比率は実に8割に達したのです。社内から複数の取締役を選ぶ大手企業において、この8割という比率は極めて高く、ソニーや日立製作所といった、社外取締役の比率が高いとされる他社でも7割台にとどまっており、今回の東芝の決断がいかに異例であるかが分かります。この新体制は、同社の株式の約7割を保有する海外投資家、特に「物言う株主(アクティビスト)」との議論を経て決定された布陣であり、東芝再建に向けた強い意志の表れと言えるでしょう。

この大胆な改革について、車谷暢昭会長兼最高経営責任者(CEO)は、株主からの質問に対し、「様々な知見をお持ちの方々に入っていただき、東芝を“鍛えていただく”」と説明しました。新任の社外取締役には、公認会計士や元商社副社長、資産運用のプロなど、多様な経歴を持つ7人が選ばれ、中には4人の外国人も含まれています。この大幅な顔ぶれの変化は、従来の取締役会では成長が期待できないと見ていた一部の海外投資家が、東芝側に取締役会の見直しを強く働きかけた結果と報じられています。今回の人事案は、米議決権行使助言会社2社も賛成を推奨しており、新体制への期待がうかがえます。

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多様な専門家を迎えた新体制への「期待」と残る「懸念」

新たな取締役会構成に対しては、早速、株主から賛否両論が飛び交っています。ある株主は「十分に検討した上の人選だと考えるので、新体制には賛成だ」と、期待の声を寄せていました。一方で、懸念の声も少なくありません。特に、新任の社外取締役の一人、藤森義明氏がLIXILグループのCEO時代に会計問題が発生していた経緯に触れ、「不正会計を経験した東芝が選ぶのは皮肉ではないか」と指摘する株主もいました。これに対し、車谷会長は「藤森氏は国際的な経験や実績が豊富にある」と反論しています。

また、社外取締役の比率が8割に達するという異例の事態は、企業統治の専門家の間でも議論を呼んでいます。あるアナリストは、「社外取締役の比率が高くなりすぎると、かえって社内から取締役会へ上がってくる情報量が減少しやすくなる」という見方を提示しました。さらに、企業統治に詳しいIBコンサルティングの鈴木賢一郎社長は、「取締役会に、従業員や取引先など、企業の利害関係者(ステークホルダー)の声が反映されにくくなる可能性もある」と警鐘を鳴らしています。健全な企業運営のためには、社外の客観的な視点と、社内の実情とのバランスが非常に重要であると言えるでしょう。

成長の「けん引役」不在への不安と半導体事業の逆風

東芝は、徹底したリストラ(事業再構築)効果などにより、2020年3月期(米国会計基準)の連結営業利益は、前期比で3.9倍の1400億円を見込んでおり、業績の回復基調を示しています。しかし、中国の景気減速は、半導体事業に強い逆風となっており、この公約を達成できるかどうかは、依然として不透明な状況です。そして何より、多くの株主が抱える根本的な不安は、今後の成長戦略の行方です。

ある株主は株主総会を終えた後、「かつて稼ぎ頭であったメモリ事業を売却した今、一体どの事業が東芝の業績を力強く**“けん引”**していくのか、総会に出席しても明確には分からなかった」と、将来に対する不安を訴えていました。新体制には、ガバナンス強化だけでなく、こうした株主の懸念を払拭する具体的な成長戦略の提示が強く求められています。国内外の多様な視点を持つ社外取締役の意見を取り入れつつ、東芝がどのようにして新たな収益の柱を確立し、再び成長軌道に乗っていくのか、その動向を編集部としても注視していきたいと考えています。

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