2020年2月4日の東京株式市場において、宿泊施設向け予約管理システムを展開する「手間いらず」の株価が力強い動きを見せました。一時前日比で980円高となる6840円を記録し、終値でも6460円という大幅な上昇で取引を終えています。東証マザーズでの値上がり率ランキング第5位に食い込むなど、投資家からの注目度が急激に高まった一日でした。
この急騰の直接的な引き金となったのは、前日に発表された2019年7月1日から2019年12月31日までの決算内容です。売上高は前年同期比30%増の8億4200万円、税引き利益に至っては50%増の3億9800万円という好業績を叩き出し、個人投資家を中心に買い注文が殺到しました。売買代金も前日の約3倍まで膨れ上がり、市場の熱狂ぶりがうかがえます。
なぜ今、「サイトコントローラー」が求められるのか
では、同社が提供するサービスは具体的にどのようなものなのでしょうか。現在、多くのホテルや旅館は、自社ホームページや複数の宿泊仲介サイトなど、多岐にわたる窓口で予約を受け付けています。同社が強みとする「サイトコントローラー」とは、それらバラバラの予約情報を一元管理するクラウド型システムのことです。約60もの外部サイトと連携し、予約状況をリアルタイムで同期できる利便性は、現代の宿泊業において欠かせないインフラとなっています。
SNS上でも「これからのホテル運営にDX(デジタルトランスフォーメーション)は必須」「手間いらずの導入率の高さは現場のニーズを的確に捉えている」といった前向きな評価が相次いでいます。東京五輪や2025年の大阪・関西万博を見据えたホテルの開業ラッシュ、そして深刻な人手不足という業界の課題に対し、業務効率化の切り札として同社のシステムが選ばれている現状が、今回の株価上昇を支えていると言えるでしょう。
今後の成長性と冷静な視点
一方で、現状を冷静に見る必要もあるかもしれません。現在、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に伴い、インバウンド需要の停滞やキャンセル増加が宿泊業界を直撃しています。企業側は「現時点でシステム解約などの影響は見られない」としていますが、感染状況が長期化すれば、先行きに不透明感が生じるリスクは否定できません。
また、同社の予想PER(株価収益率)は55倍台と、過去5年平均の39倍を大きく上回る高水準にあります。立花証券の神宮享平アナリストが指摘するように、業績への懸念が強まれば利益確定の売りが膨らむ可能性も捨てきれません。私個人としては、DX化の波は止まらないと見ていますが、期待先行の側面が強い今の株価水準に対しては、市場の反応を慎重に見極める姿勢が賢明だと考えます。
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