2020年東京オリンピックを目前に控え、日本陸上競技連盟のマラソン強化のトップである瀬古利彦氏が、その指導哲学と東京五輪に向けた熱い想いを語ってくださいました。2016年のリオデジャネイロ五輪での日本マラソン界の惨敗を受け、強化の責任者という重責を引き受けた瀬古氏。この要請には、1カ月もの熟考があったといいます。
氏が考えた理由の一つは、マラソンが日本人に「感動」や「やる気、元気、勇気」を与えるスポーツであるという確信です。かつてアテネ五輪で野口みずき選手が金メダルを獲得して以降、女子は五輪で入賞さえなく、男子もロンドン五輪での入賞が唯一という低迷ぶりでした。現役選手の名前を尋ねても、猫ひろし選手(リオ五輪カンボジア代表)の名前が出るほど、世間の関心も薄れていた当時の状況を、「貧乏くじを引いたみたい」と表現しつつも、このまま見向きもされなくなるのは困るという強い危機感が、報酬ゼロで責任のみを背負うこの役職を引き受ける決め手となったそうです。
🏅東京五輪への道!「MGC」導入と意識改革
瀬古氏がリーダーに就任してまず行ったのは、東京五輪の代表選考基準の抜本的な変更です。難航した交渉の末、2年間で一定のタイムをクリアした選手が、2019年9月15日に開催される一発勝負の選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」に出場し、代表を決める形式が導入されました。この選考基準の狙いは、まさに五輪で戦うための鍵となる「安定性」と「勝負強さ」、そして何よりも「プレッシャーに強いこと」を兼ね備えた選手を見極めることにあります。このMGCは、まさに「ワクワクドキドキの展開」が予想され、選手にかかるプレッシャーは計り知れないものとなるでしょう。
もう一つの改革は、若い指導者や選手に対する「意識改革」です。最近の若手選手は練習量が不足しがちで、昔ながらの「泥臭い地道な努力」を避ける傾向にあると感じた瀬古氏は、「ケガを恐れるあまり昭和的な練習はダメだ」と反対する若いコーチたちにも、粘り強く指導を続けたといいます。厳しい意見も口にし続けることで、徐々にその必要性を理解する指導者も増えてきている状況で、これはマラソン界全体の意識を引き上げるための重要な一手だと考えられます。
日本オリンピック委員会(JOC)は東京五輪で金メダル30個を目標に掲げています。瀬古氏は、まずは柔道で一気に10個程度を獲得して欲しいとしながらも、「五輪の華」である水泳と陸上が盛り上がらなければ、大会全体の成功はないと強調します。特にマラソンはケニアやエチオピアといった強豪国がひしめき合いますが、日本の真夏の気候であれば、我慢強い日本人にも十分チャンスはあるとの見解を示しています。
🏃ライバルこそ成長の糧!高まるマラソンへの期待
現在の男子マラソン界では、大迫傑選手や設楽悠太選手が同学年で切磋琢磨し、さらに井上大仁選手、服部勇馬選手といった有力選手が次々と台頭しています。瀬古氏自身、現役時代に宗兄弟を目標としていたように、「ライバルは人を強くする」という信念をお持ちです。日本人同士で近い目標を持つことが、互いに頑張れる環境を生み出しているのでしょう。近年、このように有力選手が揃ってきていることは、日本のマラソン界にとって大変明るい兆しです。
マラソンは、多くの日本人が愛してやまないスポーツです。瀬古氏は、ぜひ多くの人にレースを見に来て欲しいと熱く語っています。陸上競技のチケットは高額なものもありますが、マラソンは沿道で「見放題」というメリットがあります。この発言は、SNS上でも「マラソンを無料で招待してくれるなんて太っ腹!」「沿道での応援に行きたい」といったポジティブな反響を呼び、東京五輪への期待感を高めることにつながっているようです。瀬古氏が蒔いた種が、東京2020で大輪の花を咲かせることを、多くのファンが心待ちにしていることでしょう。
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