スズケンの「顔」別所芳樹会長が退任へ。24年間の軌跡と今後を読み解く

医薬品卸業界に大きな節目が訪れようとしています。2020年2月5日、業界大手であるスズケンから、長年同社を牽引してきた代表取締役会長・別所芳樹氏が退任するという驚きの発表がありました。4月1日付で取締役最高顧問へ退くこととなる別所氏は、創業家出身ではないにもかかわらず、実に24年間もの長きにわたり経営の中枢を担ってきた重鎮です。退任はご本人からの申し出によるものですが、SNS上でも「ひとつの時代の終わりを感じる」「スズケンといえば別所さんというイメージが強かった」と、長年の功績を称える声が次々と上がっています。

別所氏が歩んできた道のりは、まさにスズケンの近代化そのものです。東海銀行、現在の三菱UFJ銀行から転職を果たした後、1975年から代表取締役に就任。特に1983年から2007年まで社長を務めた期間には、持ち前の手腕を遺憾なく発揮しました。当時、同社が飛躍的な成長を遂げた鍵となったのは、積極的なM&A、つまり合併や買収戦略の推進です。これにより、単なる卸売りだけでなく、関連企業を巻き込んだ強固な事業基盤を構築することに成功しました。株式上場を実現させたことも、現在のスズケンの隆盛を決定づけた重要な決断だったといえるでしょう。

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経営のバトンと今後の展望

今回の発表を受け、スズケン側は「今後も別所氏が持つ豊富な知見と経験を活かし、取締役として経営をサポートしてもらう」と述べています。会長職は当面空席となりますが、これは単なる退任というよりも、次世代へ向けて経営体制の刷新を加速させる意志の表れではないかと私は考えます。76歳という年齢を重ねてもなお、これだけの決断を自ら下す姿には、経営者としての潔さを感じずにはいられません。これまでの歴史を尊重しつつ、いかにして新しい風を吹き込んでいくかが、今後のスズケンに問われているのではないでしょうか。

あわせて発表された2019年4月から12月期の連結決算に目を向けると、売上高は前年同期比5%増の1兆6866億円と堅調でした。これは抗がん剤をはじめとする新薬の販売が好調に推移した結果です。しかし、純利益については16%減の203億円に留まっています。2020年3月期の通期予想においても、純利益は28%減の216億円という厳しい見通しが示されています。医薬品を取り巻く環境は激変しており、この数字が示す通り、トップ交代を機にさらなる収益構造の改善が急務といえるでしょう。

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