いよいよ陸上界の熱い戦いが始まります。世界選手権の代表選考会を兼ねた第103回日本陸上競技選手権大会が、2019年6月27日から福岡市の博多の森陸上競技場で開幕を迎える運びとなりました。中でも注目を集めるのは、やはり男子100メートル競走です。世界的な実力を持つトップ選手たちが集結し、大会史上初となる「9秒台での決着」となるかに大きな期待が寄せられています。
最大の注目選手は、日本人として初めて9秒台(9秒97)の記録を打ち立てたサニブラウン・ハキーム選手(米フロリダ大)でしょう。彼は大会前日となる6月26日に最終調整を済ませ、「他者を気にせず、自身の走りを追求できれば満足です。技術的な課題を一つひとつクリアしたいと考えています」と、冷静かつ意欲的なコメントを発表しました。2年前の大会では100メートルと200メートルの2冠を達成しましたが、今回は追いかけられる立場として、その表情には余裕と自信が満ちているようです。一時帰国中は知人との食事などでリフレッシュしたといい、「日本でのレースは久しぶりなので、とても楽しみです」と心身ともに充実した状態で大会に挑む模様です。
サニブラウン選手は、今季、スタートの改善には手応えを感じているものの、レースの中盤から後半にかけての走りを更なる課題として捉えているとのことです。「練習で取り組んでいることを、本番のレースでも忠実に再現したい」と語っています。また、100メートルだけでなく、今月に出場した全米大学選手権で日本歴代2位となる20秒08を記録した200メートルでも、他を圧倒する存在です。大会期間中には天候が崩れ、雨天でのレースも予想されますが、2年ぶりとなる両種目制覇へ向けて視界は極めて良好であると言えるでしょう。
対するは、日本人2人目の9秒台ランナーである桐生祥秀選手(日本生命)です。彼は自己ベストにわずか0秒01差となる9秒98の記録を持っています。5年ぶりとなる日本選手権の頂点を目指し、士気が高まっているようです。昨年は3位に終わりましたが、今年は「昨年とは異なり、自信を持って臨めます。全員がハイレベルな競り合いになるでしょうが、その中で自分のペースを崩さず走りたいです」と力強く述べました。今季はすでに10秒0台を4度も記録しており、その安定感は抜群です。「予選、準決勝では無理せず10秒0台、あるいは10秒1台で通過し、体力を温存したいです。そして決勝では一発で勝負を決めたい」と、明確なレースプランを描いています。
さらに、5月に自己ベストの10秒04をマークした小池祐貴選手(住友電工)も台風の目となりそうです。彼は今月の欧州遠征で、世界のトップ選手が集う最高峰の大会、「ダイヤモンドリーグ」に出場し、貴重な経験を積んできました。特に、これまで苦手としていたスタート部分で改善のヒントを得たようで、「スタートを修正できれば、きっと良いレース運びができ、面白い記録が出せるはずです」と、その自信を隠しません。
また、得意のスタートで流れを掴みたいと意気込む多田修平選手(住友電工)は、「スタートから中盤までの走りを特に意識して、今回のレースを復活の足がかりにしたいです」と語っています。左脚の故障でレース間隔が空いてしまったケンブリッジ飛鳥選手(ナイキ)も、「不安や焦りはありましたが、やるべきことは全てやってきました。最後は勝負にこだわるしかありません」と力を込めました。残念ながら前回覇者の山県亮太選手(セイコー)は欠場となりましたが、この豪華な顔ぶれを見れば、激しい優勝争いは避けられません。この大会が、日本の短距離界の歴史に新たな一ページを刻み、初の9秒台決着となることを、心から期待してやみません。この熱い戦いは、陸上ファンならずとも、その迫力に魅了されるでしょう。
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