全国の地方都市で深刻化する、空き地や駐車場ばかりが目立つ風景。かつての賑わいを失った街を見て、皆さんはどのように感じますか?建築家であり、ワークヴィジョンズ代表の西村浩氏は、この縮小する時代にこそフィットする、まったく新しい街づくりの手法で注目を集めています。
2020年1月27日の時点で、西村氏は「ほしい暮らしは自分でつくろう」という力強いスローガンを掲げ、全国を飛び回っています。従来の行政主導による大規模な再開発とは一線を画し、住民が主体となって動くことを重視する彼の姿勢は、SNS上でも「ただの公共事業と違ってワクワクする」「当事者意識を持つことの重要性を痛感する」といった反響を呼んでいます。
コンテナと芝生が呼び込む、笑顔あふれる日常
西村氏の活動の象徴とも言えるのが、故郷である佐賀県佐賀市の「わいわい!!コンテナ」というプロジェクトです。2011年に始まったこの取り組みは、閑散としていた商店街の一角にあった空き地を、あえて芝生の広場へと変身させることからスタートしました。
そこには絵本や漫画が楽しめる図書館、子どもたちの遊び場、大人の交流スペースといった機能を持つコンテナが設置され、デッキも整備されました。殺風景だった空間は、今や親子連れの歓声が響く、街の新たな憩いの場へと見事に変貌を遂げたのです。
ここで注目すべきは、彼が単に「ハード(建物)」を作るのではなく、「ソフト(中身)」と「やりたい人」を先に揃えるという手法をとっている点です。この場所がきっかけとなり、周辺には服飾や飲食などの新たな店舗が次々と誕生しました。
従来の再開発が多額の税金を投入して大きなビルを建てることに固執しがちなのに対し、西村氏は「低コストで日常的に人が集まる仕組み」を優先しました。この「隙間」を活かす発想こそが、虫食い状態の駐車場が広がる地方都市に回遊動線を生み出す、極めて現実的かつ本質的な処方箋ではないでしょうか。
建築家がリスクを取る!当事者として街を変える
西村氏のすごいところは、企画を提案して終わりではない点です。彼は自らリスクを取り、実際にカフェを併設した共用オフィスを立ち上げたり、10年間空き家だったビルを地元企業と共同で改修したりと、自らが当事者となって街に入り込んでいます。
この「当事者」という言葉は、今回の活動の鍵です。たとえ専門的なスキルがなくても、自分の街の未来を自分たちの手で作り出そうとする意識を持つこと。これこそが、縮小していく街を存続させるための最も重要なエネルギーになると私は考えます。
2009年度にグッドデザイン大賞を受賞した北海道岩見沢市の駅舎設計においても、彼は住民参加型のプロジェクトを推進しました。外壁のレンガに住民の名前を刻むなどして、住民が「自分たちの駅だ」と誇りを持てる仕掛けを施したのです。
彼は現在、街づくりアドバイザーとして全国20カ所以上のプロジェクトに関わっています。2019年11月には、岡山県津山市のワークショップの一環で、東京に住む津山出身者を集めて中継を結びました。物理的な距離が離れていても、同じ目標を持つ人々を繋ぐことで、新しい価値は生まれるのです。
「にぎわい」といった定型句を使わず、時代にふさわしい「関係性」をどう構築するか。西村氏の挑戦は、私たちに「街づくりは、難しいけれど最高に面白い仕事だ」ということを教えてくれます。彼が灯した心火は、これからも全国の街で、新しい物語を紡ぎ続けていくことでしょう。
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