2020年1月28日現在、中国・武漢を発端とした新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が、海を越えた静岡県の経済活動に静かな、しかし確実な爪痕を残し始めています。日々ニュースで報じられるその脅威は、もはや遠い国の出来事ではありません。現地では感染が猛威を振るい、予断を許さない状況が続いています。これを受け、県内の企業は社員の安全確保を最優先に、苦渋の決断を迫られているのです。
特に製造業を中心に、出張自粛の動きが広がっています。スズキでは、緊急性が極めて高い案件を除き、武漢への出張を控えるよう徹底した指示を出しました。浜松ホトニクスにおいても同様に、不要不急の出張を避ける方針を固めています。ヤマハ発動機は、2月14日に予定していた広東省での販売代理店会議の延期を決定しました。現在は春節(旧正月)による休暇期間中ですが、明けた後の状況を注視し、感染予防に全力を注ぐ構えです。企業活動の停滞は避けられないでしょう。
観光・インバウンド業界への甚大な打撃
一方で、観光レジャー産業への衝撃はさらに直接的です。中国政府が1月27日から海外団体旅行を禁止したことで、宿泊施設や旅行会社から悲鳴が上がっています。ホテルジャストワン富士小山では、25日頃から予約のキャンセルが相次いでおり、関係者は「先が読めない」と不安を隠せません。県東部の他の宿泊施設でも、2月・3月の中国人団体客の予約がほぼゼロになるという、前代未聞の事態に直面しています。
SNS上でも「春節シーズンを直撃するとは」「地元のホテルがガラガラになっている」と、経営への打撃を懸念する声が目立ちます。遠鉄グループでは、グループ全体で3月末までに約8000万円もの影響が出ると見込んでおり、その規模の大きさに驚かされます。インバウンドとは、海外からの訪日観光客のことですが、この急激な変化に、各社は東南アジアへの営業強化など、苦しい舵取りを余儀なくされています。
空港運営と今後の展望
中国路線の比率が高い静岡空港も、重大な局面を迎えています。現在は空港内でサーモグラフィーを用いた検疫が行われ、水際対策が強化されていますが、団体客の減少による欠航リスクが高まっているのです。運営会社も免税店やテナントの収益減を覚悟しており、事態は極めて深刻です。検疫所の担当者は「手洗いやうがい、消毒を徹底してほしい」と改めて予防を呼びかけています。
私個人としては、今回の件は経済合理性のみで解決できる問題ではないと考えます。人の命と経済活動、その天秤にかけるべきではない両者の間で、企業や自治体は非常に困難な決断を積み重ねています。インバウンドに過度に依存することの危うさと、同時に支え合ってきた絆の重要性を再認識させられます。一日も早い終息を願うとともに、静岡県がこの難局をどう乗り越えるのか、引き続き冷静に見守る必要があります。
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