宇宙から大漁を狙う!衛星データ活用で漁業の未来を切り拓く効率化革命

海の上では、今まさに「宇宙の力」を借りた大きな変革が起きているのをご存じでしょうか。人工衛星が捉えた膨大な観測データを駆使し、漁業を劇的に効率化させる試みが全国各地で活発になっています。この技術の中心にあるのが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた地球観測衛星「しきさい」です。これまで経験と勘に頼る部分が大きかった漁業の現場において、このデータは深刻な人手不足を補う強力な武器として期待を集めています。

そもそも「しきさい」とは、2017年12月23日に打ち上げられた高機能な衛星です。本来は地球温暖化の予測や気候変動の監視を目的に、雲や大気中のちり、雪氷などを観測する役割を担っています。しかし、その高性能なセンサーは地表の植物の状態や海水温、さらには海中のプランクトン分布までも詳細に把握できるのです。この宇宙から届けられる海の状態が、今や漁師の皆さんの「頼れる羅針盤」となっています。

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地域の産業を救う「見えない海」の可視化

例えば、ホタテの生産量が全国2位を誇る青森県では、2019年4月1日から「海ナビ@あおもり」という情報サイトが公開されました。青森県産業技術センター水産総合研究所が、「しきさい」のデータを活用して水温分布を色分けした地図を作成・配信しています。ホタテにとって水温は生死を分ける死活問題であり、記録的な高水温で大打撃を受けた過去の教訓から、このデータは漁師の間で欠かせない情報源となりました。

SNS上でも「これまでは沖に出るまで水温が分からず、無駄な航海も多かったが、地図一つで漁場が予測できるのは画期的」といった声が上がっています。燃料代の節約や限られたマンパワーの最適配置といったメリットは、効率化を求める現代の漁業にとって非常に大きな福音と言えるでしょう。私個人としても、ハイテク技術が伝統的な一次産業に寄り添い、現場の負担を減らしていく今の潮流は非常に素晴らしいことだと感じています。

養殖から農業まで、広がるデータ活用の可能性

漁業の効率化は、沖合に出るだけではありません。ベンチャー企業のウミトロンが取り組んでいるのは、スマートフォンで遠隔操作できる「スマート養殖」です。2018年から試験運用されているこの仕組みは、衛星データから得た水温やプランクトンの状況を基に、愛媛県愛南町のマダイ養殖などで餌の量を精密に調整します。海の状態に合わせて適量を計算することで、飼料の無駄を省き、より環境に配慮した養殖を目指しています。

さらに、この波は農業界にも押し寄せようとしています。2019年10月15日には農林水産省とJAXAが連携協定を締結し、農地の利用調査や災害時の被害把握に衛星データを活用する道を拓きました。今後は、ダイズやトウモロコシなどの穀物作柄予測に、地表の温度や日射量のデータを役立てる共同研究も進められる予定です。日本でも米国のような最先端のシステムが構築されれば、食料安全保障の強化にも直結するはずです。

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