2019年6月上旬、日本の物流を支える大手の一角である日本郵便が、ヤマト運輸グループの「宅配便ロッカー」の共同利用をスタートさせたという、業界にとって大きな動きがありました。これは、インターネット通販の普及に伴い社会問題となっている**「再配達」を減らすための、強力な一手として注目されています。以前から、日本郵便は自社独自の宅配ロッカーを整備する計画を打ち出し、顧客の囲い込みを狙っていたとみられますが、設置にかかる高額な費用や、利便性の高い場所の確保の難しさといったコストの壁に直面していた状況です。
物流業界にとって長年の懸案事項である再配達は、全体の荷物のおよそ15%にも及び、国土交通省の試算によれば、これはトラック運転手9万人分に相当する労働力が費やされている計算になります。政府は2020年までに大手3社の再配達率を13%まで引き下げる目標を掲げているものの、単身世帯や共働き世帯の増加により、自宅での荷物受け取りが困難なケースが増え、なかなか改善が進まない状態が続いていました。そのような背景の中、日本郵便が自前での整備計画を大幅に下方修正し、ヤマト運輸のロッカーに相乗りするという決断は、「再配達削減」という共通の目標達成に向けて大手3社が連携するという、大変意義深い一歩と言えるでしょう。
🚚物流大手が手を組んだ!「PUDOステーション」の共同利用がもたらす利便性
日本郵便が共同利用を始めたのは「PUDO(プドー)ステーション」という名称の宅配ロッカーです。これは、最大手のヤマト運輸とフランスの郵便機器製造大手であるネオポストが出資した合弁会社、パックシティジャパンが2016年から全国の駅、スーパーマーケット、コインランドリーなどに設置を進めてきたものです。現在、全国に約4,000台が展開されており、消費者はネット通販で購入した商品などを、帰宅途中や買い物のついでといった都合の良いタイミングで受け取ることが可能になります。便利な場所にあるプドーステーションは、消費者の利便性を飛躍的に高めるため、再配達を大幅に削減する効果が期待されています。
日本郵便は、まず関東地方にある315台のプドーステーションで「ゆうパック」の受け取りを可能にしました。実は、このプドーステーションは、ヤマト運輸が2016年7月に運用を開始した当初から、既に佐川急便や、国際エクスプレスサービスを提供するDHLジャパン(2017年9月より参画)といった他の宅配事業者も利用料を支払って共同利用しています。ロッカーの導入費用は1台につき100万円以上とも言われ、消費者が無料で利用するため、1社だけで全額を投資するのは大きな負担です。この共同利用方式は、投資の負担を分け合いながら、設置台数を増やし、利用者の利便性を広範囲で高めるための非常に合理的な仕組みであると言えるでしょう。
💡日本郵便の戦略転換と、今後の普及への課題
日本郵便は、これまで「はこぽす」という自前の宅配便ロッカーの設置を進めており、当初は2020年までに1,000台まで広げる計画でした。しかし、記事執筆時点での設置台数はまだ336台にとどまっており、設置場所の確保やコスト負担の重さから、プドーの共同利用には当初消極的だったとみられます。このプドーの共同利用開始は、自前での整備計画を大幅に縮小する戦略的な転換を意味するでしょう。メルカリなどのフリマアプリやネット通販を利用する際、ゆうパックの配達先としてプドーを指定できるようになり、消費者の選択肢は大きく広がります。
この大手3社の連携は、再配達削減への強い意志を示すものであり、私はこの協力体制を高く評価いたします。なぜなら、各社がバラバラにロッカーを設置するよりも、一つの共通プラットフォームとして普及させた方が、消費者は混乱せず、利用が促進されると考えるからです。ただし、今後の大きな課題は「認知度の向上」です。内閣府が2017年に実施した調査では、再配達の荷物を宅配ロッカーで受け取った人は1%未満**にとどまっており、その存在自体がまだ十分に知られていません。3社が連携して利用を呼びかけたり、ロッカー受け取りを選択した際の送料を割引するなど、需要を喚起する施策を講じれば、宅配ロッカーの利用は今後大きく伸びる可能性があるでしょう。
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