イベント会場や商業施設など、人が多く集まる屋内空間でのドローン活用に革新をもたらす技術が、NTTドコモから発表されました。ドコモは2019年4月に、プロペラを持たない安全な球体ドローンの開発に成功したことを公表しています。この斬新な機体は、従来のドローンにつきものだった「羽根による接触の危険性」や「落下事故のリスク」を大幅に低減し、人のいる場所での運用を可能にすることが最大の狙いです。
ドローンといえば、高速で回転するプロペラを使い、空撮や無人配送など多岐にわたる用途で市場が拡大しています。しかしその一方で、プロペラでの負傷や、機体の落下といった事故が安全上の大きな課題でした。実際、国土交通省のデータによると、2017年の無人航空機の飛行許可承認1万件あたりの事故発生件数は20.2件に上っており、同省は2020年にこの件数を半減させる目標を掲げています。プロペラの接触による指の切断事故なども発生しており、安全対策の強化が急務とされています。
ドコモの先進技術研究所に所属する開発担当者の山田渉さんによると、「人のいる室内でも安全に飛ばせるドローンのニーズは非常に大きい」と、羽根をなくしたドローン開発の動機を説明しています。プロペラによる事故の危険性を抑えることで、ドローンが活躍できる場所を増やし、市場のさらなる成長を後押しできるでしょう。
🚀羽根なし飛行の秘密:風船の浮力と超音波振動モジュール
プロペラが不可欠とされてきたドローンを、いかにして羽根なしで飛ばすのか。ドコモが採用したのは、飛行船の原理を応用した仕組みです。機体は直径約90センチメートルの球体状の風船で、内部にはヘリウムガスが充填されています。このガスの浮力によって機体全体の重量と釣り合い、まず空中に静止できるように設計されているのです。この「浮力」が、羽根をなくすための鍵となっています。
空中に浮かんだ機体を前後左右、そして上下に動かす推進力として活用されたのが、超音波振動モジュールという小型機器です。専門用語であるこのモジュールは、簡単に言えば「1秒間に2万6千回という高周波で振動し、その際に風を発生させる微細な送風装置」のこと。元々は小型デバイスの冷却などに用いられる市販部品ですが、開発チームはこのモジュールが細かく風を送り出せる点に着目しました。
機体の側面に48個取り付けられたこの超音波振動モジュールを調整し、風を送り出す方向と逆向きにドローンを動かすことで、上下左右、前後の計6方向への操作が可能になります。モジュール単体では重い機体を持ち上げるほどの力はありませんが、ガスの浮力で機体が空中にある状態であれば、この微細な風が推進力として十分に機能するのです。飛行速度は最大で秒速20センチメートル、連続で1〜2時間の飛行が可能とのことです。
👂🏻騒音問題もクリア!広がる用途とSNSでの反響
プロペラをなくしたことによる副次的なメリットとして、羽根が空気を切る際の騒音がなくなった点も特筆すべきでしょう。これにより、静粛性が求められる室内イベントなどでの利用にも適しています。さらに、機体が風船でできているため、人混みの中で万が一落下したとしても、従来のドローンに比べて事故の危険性を格段に抑えられるとされています。「人がいない場所であれば通常のドローンでも良いが、人混みの中では球体ドローンの方が優位性がある」と山田さんは述べています。
この革新的な技術の発表は、SNSでも大きな話題となりました。「ドローンの安全性が飛躍的に向上する!」「イベント演出での活用が楽しみすぎる」「超音波振動モジュールを推進力に使う発想がすごい」といった、技術的な側面や用途の広がりに対するポジティブな意見が多く見受けられました。従来のドローンが抱えていた安全面での懸念を払拭する技術として、多くの読者が期待を寄せているようです。
まだ試作段階であり、手作業での組み立てが必要など実用化には課題もありますが、開発期間は約半年と短期間で、そのポテンシャルは計り知れません。山田さんは、「空間そのものが新しいインターフェースとして活用できる」と、この技術が秘める可能性を強調しています。この球体ドローンは、室内での警備や人の動きの分析に役立つでしょう。機体に搭載したカメラで空中から撮影・解析することで、イベント会場などの人混みでも人流を監視することができます。また、浮力で浮いているため、同じ場所に留まりやすく定点観測にも適しているのです。
さらに、球体という形状を活かした広告媒体としての利用も期待されています。ドローン本体にプロジェクションマッピングを施すことで、音楽ライブなどでの幻想的な演出ツールとして活用できる見込みです。ドローンビジネスの市場は、調査会社のインプレスによると2018年度が931億円と前年度比85%増を記録しており、2024年度には5073億円まで拡大する見通しです。ドコモは、2017年の基地局実験や2018年の運用支援システム開発など、成長分野であるドローンビジネスに積極的に取り組んでおり、この球体ドローンも新たなツールとして大きく飛躍するでしょう。
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