【流通の新形態】近商ストアが挑む「ポシェット」革命。駅直結型「都市型小型店」がコンビニ・スーパーの垣根を壊す

2019年5月29日付の報道は、近鉄グループホールディングス傘下の近商ストアが、流通業界の常識を覆す新しい業態、**「都市型小型店」の展開に乗り出すというニュースを伝えました。同年5月30日、その1号店となる「スーパーマーケット KINSHO Pochette(ポシェット) 俊徳道店」が、大阪府東大阪市に開業します。これは、従来のスーパーともコンビニエンスストアとも異なる、「ハイブリッド型」**の店舗であり、今後5年間で大阪市内を含め、20店舗程度の展開を目指すという、反転攻勢への重要な布石です。

この「ポシェット(小型バッグ)」という名前が示すように、新業態は「魅力ある商品が詰まった便利な小売店」を目指しています。売り場面積は約450平方メートルとコンパクトながら、品揃えは約4,700品目と、一般的なコンビニ(約2,500品目)の2倍近い品目を取り揃えています。さらに、公共料金の収納代行やATM、イートインコーナーといったコンビニ並みのサービスも完備しつつ、価格はスーパーと同水準の割安な値段を設定。**「使い勝手の良さ」と「割安な価格」**を武器に、集客を図ります。

SNS上では当時、「スーパーとコンビニのいいとこ取りだ」「駅直結なら絶対便利」「近所のスーパーが小型化するのは大歓迎」といった、都市生活者からの利便性への期待の声が多く寄せられていました。近商ストアは、採算が見込める立地条件を厳選しており、俊徳道店は1日1万人以上が乗降する駅高架下という、交通の結節点を選んでいました。こうした都市型小型店はライフコーポレーションなど同業他社の出店も相次いでおり、競争激化の背景には、高齢化やライフスタイルの変化による顧客嗜好の多様化があります。

コラムニストとしての私の意見ですが、この「ポシェット」の登場は、日本の小売業界の業態の垣根が崩壊し始めている現実を象徴しています。スーパーはコンビニと、コンビニはドラッグストアと、ライバルが増える中で、従来の大型店舗を維持することが難しくなり、地域や立地に合わせて機能を最適化する**「業態の分化」**が加速しています。近商ストアは、売上減少で採算が悪化した従来の小型店を相次ぎ閉鎖してきた経験を踏まえ、この新業態を反転攻勢の切り札にしたい考えです。

課題は、生鮮食品の供給体制の整備です。固定費を抑えるために、生鮮食品を店内では加工せず、周辺店舗からの供給を受ける体制をとっています。今後は、他社との連携や自前の食品加工センターの設置など、持続的な品質とコスト効率を両立させるための戦略が求められるでしょう。この**「スーパーマーケット・コンビニ・ハイブリッド」**という新業態が、大阪の流通市場に新しい風を吹き込むことを期待したいと思います。

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