【機能化学品と医薬の攻防】日本化薬が仕掛ける組織再編。6月1日付人事に見る「選択と集中」の未来戦略

2019年5月29日付の報道は、日本の総合化学メーカーである日本化薬が、同年6月1日付と25日付で、事業構造の変革を目指す大胆な組織と役員人事の刷新を行うことを伝えました。この人事は、同社が、今後の成長分野である機能化学品と医薬事業に経営資源を集中させるという、明確な**「選択と集中」**の戦略を示唆しています。

まず注目すべきは、6月1日付で行われた機能化学品事業本部の組織変更です。これまで一つだった色素材料事業部の営業部を廃止し、新たに営業第1部と営業第2部を新設しました。これは、競争が激化する機能性材料市場において、営業体制を細分化し、よりきめ細かく、専門性の高い顧客対応を行うことで、収益力の強化を目指す意図が読み取れます。岩崎央氏、白岩直樹氏といった新たな責任者が配置され、営業力のテコ入れが図られました。

次に、6月25日付では、医薬事業本部に事業開発本部が新設されるという重要な機構改革が行われました。医薬事業は、市場が不安定になりがちな化学品事業と比べて、安定した収益をもたらす成長の柱として期待されています。この事業開発本部の新設は、新薬や新しい治療法の開発、あるいは他社との提携といった、医薬分野での成長戦略を加速させるための、経営的なプラットフォームを構築しようというものです。

SNS上では当時、「化学メーカーも事業ポートフォリオの見直しを急いでいる」「医薬へのシフトは時代の流れ」といった、業界構造の変化に対する冷静な分析が寄せられていました。特に、医薬研究所では、バイオ医薬品グループ長として佐藤令久氏が配置されるなど、バイオテクノロジーといった最先端の成長分野に優秀な人材を集中させる動きが見て取れます。バイオ医薬品とは、遺伝子や細胞などを応用して作られる医薬品のことで、従来の化学合成医薬品とは区別され、高い成長が見込まれています。

コラムニストとしての私の意見ですが、この日本化薬の人事は、日本の化学メーカーが、汎用品(汎用性の高い製品)中心の収益構造から、高付加価値のスペシャリティケミカルやヘルスケア分野へと、大胆に事業構造を転換しようとする強い意志の表れです。この組織改革と人事が、同社の成長戦略を成功に導き、国際競争力を高めるための、重要な鍵となるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました