【2019年最新】国民年金「実質納付率」は4割? 免除・猶予614万人で進む高齢者の貧困化と対策を徹底解説

2019年6月27日、厚生労働省が公表した国民年金の保険料納付状況は、日本の公的年金制度が抱える深刻な課題を浮き彫りにしています。自営業者やフリーターなど、国民年金(公的年金の「1階」部分にあたります)に加入する人々のうち、なんと42%にあたる614万人が、2018年度に保険料の免除や猶予を受けていたことが明らかになったのです。これは、前年度からさらに1ポイント上昇しており、国民年金制度の根幹を揺るがしかねない状況と言えるでしょう。この事態は、将来的に満額の年金を受け取れない高齢者が増加し、「老後の貧困」が拡大する恐れがあることを示唆しています。

国民年金は、日本国内に住む20歳から60歳未満の人が加入する制度で、主に自営業者や非正規雇用者などが対象です。2018年度の加入者は1471万人と、前年度から34万人減少しています。これは、会社勤めの人が増え、より手厚い厚生年金(公的年金の「2階」部分にあたります)へ切り替える動きが進んでいるためと考えられます。しかし、残る加入者のうち、所得が少ないなどの理由で保険料の全額または一部を免除されている人が380万人、同様に支払いを猶予されている人が55万人、そして学生納付特例制度で猶予されている人が179万人にも上るという事実は、非常に重い現実です。

厚生労働省は、保険料を納付すべき月数に対する実際の納付月数の比率である「納付率」を公表しており、2018年度は68.1%と、7年連続で上昇したと説明しています。しかし、この納付率は、免除や猶予を受けている人々を計算の対象から除外して算出されているため、実態を正確に反映しているとは言えません。免除や猶予の対象者も含めて計算し直した「実質的な納付率」は、およそ40%にまで低下してしまうのです。この実質的な納付率の低さこそが、公的年金制度の持続可能性と、加入者個人の老後生活に大きな影を落としています。

国民年金の支給額は、保険料を40年間払い続けた満額で、2019年度の例示では月額6万5008円です。しかし、例えば40年間全額免除を受けていた場合、将来受け取れる年金額はこの半額に減ってしまいます。免除や猶予は、保険料の支払いが困難な人への救済措置(特例を受けるには市区町村への申請手続きが必要です)ですが、手続きをせずに保険料を納めない「未納」となると、将来の年金額が単純に減ってしまうだけでなく、万が一の障害や死亡時の年金を受け取れないリスクも生じます。この実質納付率の低さから、老後に満額の国民年金を受け取れる人はそう多くないと考えられ、貯蓄などの資産が乏しい人々は生活に困窮する可能性が高いでしょう。

この報道に対し、SNS上では「老後2000万円問題に加えて、年金自体もまともに貰えないのか」「非正規雇用が増えた結果だ」「若者の貧困がそのまま将来の高齢者の貧困に直結している」といった、将来への不安や制度への疑問の声が多く見受けられます。特に、就職氷河期世代(現在30代半ばから40代半ばの人々)では、非正規雇用や無職の人が90万人を超えており、この世代が高齢者となる40年ごろには、生活保護に頼る人がさらに増えるとの懸念が専門家からも示されています。

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高齢者の貧困拡大を食い止めるための喫緊の対策

日本総合研究所の星貴子副主任研究員は、収入が生活保護の受給水準以下で、貯蓄も不十分な高齢者世帯が今後増加し、2030年には2015年比で100万世帯増の387万世帯に達すると推計しています。非正規雇用の割合の増加や雇用の不安定さが、国民年金保険料の未納や、老後の資産形成を妨げている主な原因でしょう。現在、生活保護の受給世帯は160万世帯を超え、その約半分が65歳以上の高齢者世帯であり、国と地方の負担は年間3.8兆円に上っています。この現状を鑑みるに、公的年金制度だけでなく、福祉制度全体を含めた社会保障の抜本的な再設計が急務であると言えます。

喫緊の対策の一つとして、厚生年金への加入者をさらに増やすことが重要になります。厚生年金は、保険料を会社と労働者が折半して負担する仕組みのため、国民年金よりも将来受け取れる年金額が手厚くなるのが特長です。例えば、賃金が月8.8万円の場合、厚生年金保険料は国民年金より安い約8千円ですが、40年間加入すれば、年金は月約8万3千円と、国民年金(満額)より1万8千円ほど増えます。厚生労働省は、パートなどの短時間労働者への厚生年金適用拡大を進めてきましたが、現在は従業員501人以上の企業での要件が中心です。今後は、さらに多くの企業で厚生年金に加入できるように、企業規模の要件を緩和することが大きな課題となるでしょう。もちろん、中小企業の経営への配慮も必要ですが、将来の社会保障負担を軽減し、国民の老後の安心を確保するためには、より広範な適用拡大を断行すべきだと私は考えます。

このデータは、単なる数字の変動ではなく、国民一人ひとりの老後の生活を左右する非常に重大な問題です。特に、若年層や非正規雇用で働く人々にとっては、現在のわずかな手取りの減少以上に、将来受け取れる年金が激減するリスクを真剣に捉える必要があります。公的年金は「自助」を支える重要な土台であり、この土台が崩れれば、生活保護に頼らざるを得ない高齢者が爆発的に増え、社会全体の活力が失われることにも繋がりかねません。社会の世帯構成や働き方が大きく変化している今こそ、政治・行政は、目の前の財政負担だけでなく、数十年後の日本の未来を見据えた、大胆かつ実効性のある年金制度改革に踏み出すべきではないでしょうか。

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