2019年6月27日、G20大阪サミットに出席するために来日していた中国の習近平国家主席と韓国の文在寅大統領が、大阪市内で会談を実施しました。この会談は、同年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた会談以来となります。特に注目されたのは、会談に先立つ同年6月20日と21日に習主席が実施した北朝鮮訪問の内容についてです。韓国大統領府の説明によると、習主席は文大統領に対し、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が「非核化の意思に変わりはない」と述べたことを伝えられました。
金委員長は習主席との会談で、「新たな戦略的路線に沿って経済発展と民生改善に努力しており、外部環境が改善されることを望む」と発言したと報じられています。この発言は、北朝鮮が掲げる国家戦略の方向転換を示す「新たな戦略的路線」に基づき、核開発と経済発展を両立させる「並進路線」から、経済発展に注力する姿勢への転換を意味するものです。事実上の非核化交渉の再推進や、経済制裁の早期解除に対する中国の支持を求めていると推察されるでしょう。SNSでは、この金委員長の発言に対し、「非核化の真意がどこにあるのか」「経済改善が目的なら交渉が進む可能性はある」といった、期待と懐疑的な見方が混在した反応が見られました。
また、中韓の間の懸案事項である、米軍による地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD:サード)の配備問題についても議論が交わされました。THAADとは、高高度で飛翔する弾道ミサイルを迎撃するために開発されたシステムのことで、中国は自国の安全保障を脅かすものとして、韓国への配備に強く反対しています。習主席は文大統領に対し、THAAD配備問題の解決を要求しましたが、文大統領は「非核化問題が解決されなければならない」と述べるに留めました。THAADを巡っては、中国が韓国への団体観光客の制限など、事実上の経済的な報復措置を続けており、両国間の関係正常化の大きな障害になっていると言えるでしょう。
米中対立の影響と経済協力へのメッセージ
一方、中国国営中央テレビ(CCTV)の報道によると、習主席は中韓の経済協力について、「完全にウィンウィン(相互利益)であり、外部の影響を受けるべきではない」と強調しました。これは、当時のトランプ米政権が同盟国に対して求めていた、中国の通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)製品の排除問題などを念頭に置いた発言だと考えられます。ファーウェイに対する圧力は、米中間の技術覇権を巡る対立の象徴となっていました。中国としては、中韓の経済関係を政治的な問題や、米国の意向に左右されることなく、維持・発展させたいという強い意志が読み取れます。
私見として、金正恩氏の「非核化の意思」という言葉は、経済制裁の苦しさからくる、あくまで「条件付き」の意思表示ではないかと考えられます。北朝鮮が求める「外部環境の改善」とは、経済制裁の緩和・解除であり、非核化の行動と制裁解除のタイミングが一致しなければ、交渉の膠着は再び起こる可能性が高いでしょう。また、今回の首脳会談で、両国は習主席の年内訪韓に向けた外交当局間の調整を進める方針を確認しました。これは、米中対立が激化する中で、中国が韓国との連携を強化し、アジアにおける影響力を維持しようとする戦略的な動きの一つであると分析できるでしょう。
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