岡山県岡山市に拠点を置く機械制御ソフト開発のキャリースルーと、同県玉野市のソフト開発企業であるコスモ情報システムが共同で、これまでの常識を大きく塗り替える太陽光発電システムを開発し、実用化に成功しました。この革新的なシステムは、太陽の動きを追いかける追尾型パネルと、パネルの裏側でも発電を可能にする両面受光型の技術を採用することで、従来の固定式パネルと比べて発電効率を約2倍にまで向上させている点が最大の特長です。まさに地方発の技術が、持続可能なエネルギーの未来を切り拓く画期的なニュースと言えるでしょう。
本システムは、高さ約3.5メートル、幅と奥行きがそれぞれ約5.8メートルのスケールで設計されています。システムには、表裏両面で太陽光を受け止められる両面受光型のパネルが、縦3列・横3列の計9枚配置されており、その背面には高日射反射率の塗料が塗布された高性能反射板が取り付けられています。この反射板が太陽光を反射し、パネルの裏側でも効率的に光を受け取ることを可能にしているのです。これにより、限られた設置面積から最大限のエネルギーを取り出す工夫が凝らされていると考えられます。
さらに、このシステムは、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(アイオーティー:Internet of Things)技術を活用した操作管理システムを構築しているため、非常に賢く運用できます。制御装置に設置場所の緯度と経度を入力するだけで、日の出から日没まで太陽の位置を自動計算し、パネルの方位と角度を自動的に調整します。太陽光に対して常に垂直になるようパネル面を動かすことで、終日、最大の発電量を維持できるように設計されているのです。発電データはスマートフォンからもリアルタイムで確認できるため、遠隔地からでもシステムの稼働状況を把握できる利便性の高さも魅力と言えます。
従来の平置き・片面受光タイプの太陽光発電システムと比較して、この追尾型システムは実に2.25倍程度の発電効率が見込まれています。2019年4月に岡山県倉敷市で行われた実証実験では、実際に従来型の約2倍の発電量を記録し、その高い性能が実証されました。この成功を受けて、すでに記念すべき1号機の納入も決まっており、この革新的な技術の社会実装が本格的にスタートしたことを示しています。キャリースルーは、この方位・角度を自動調整するシステムについて、すでに特許を出願中とのことで、技術の独自性をしっかり守りながら普及を進める方針です。
システム1台あたりの価格は約300万円と、従来型の約2倍程度のコストとなりますが、その高効率発電能力を考慮すれば、長期的なコストパフォーマンスは非常に高いと言えるでしょう。また、総重量約1.2トンという重量を、フレーム全体で分散して支える構造を採用しているため、設置スペースは約28平方メートル程度で済み、ビルの屋上などにも設置しやすい設計となっています。特に日本の都市部では設置面積が限られるため、ビルの屋上への設置が可能である点は、大きなアドバンテージになると考えられます。
安全性と耐久性への配慮も万全です。風速を感知するセンサーが装備されており、風速10メートルを超えるような強風時には、パネルが自動的に地面と水平になるよう動きます。これにより、風の抵抗を最小限に抑え、倒壊などのリスクを防ぎます。さらに、降雪時にはパネルを垂直にすることで積もった雪を払い落とす機能も備えており、寒冷地などの厳しい自然環境下でも、安定して発電を継続することが可能になるでしょう。
キャリースルーの西山和宏社長は、「非常用電源を必要としている学校や病院、電力インフラの整備が遅れている農村地域などへ積極的に売り込みたい」と、このシステムの活用先について大きな展望を語っています。災害時の電力確保は社会的な重要課題であり、この高効率な非常用電源は、多くの人々の安心・安全に貢献することが期待されます。小規模ながらも革新的な技術を持つキャリースルーが、先行するコスモ情報システムと協力することで、一気に実用化へ漕ぎ着けた経緯は、オープンイノベーションの好例として非常に注目すべきです。
今後の展開として、キャリースルーは一般家庭の約3日分の電力を備蓄できるバッテリーシステム内蔵型の開発も急いでいるそうです。自家消費や災害対策への関心が高まる中、このバッテリー内蔵型は、一般市場でも大きな反響を呼ぶことでしょう。また、海外市場への展開も視野に入れており、2019年7月からは、自然エネルギーや追尾型太陽光発電への関心が高いドイツを中心とした欧州での拡販を開始し、初年度に10台程度の販売を見込んでいます。
さらに、電力インフラ整備が遅れているアフリカやアジアなどの海外市場に向けては、パネル2枚の小型機(高さ約2.2メートル、幅約2.7メートル、奥行き約1.2メートル)の開発も進められています。総重量を約300キログラム程度に抑えたこの小型機は、2019年9月にも完成予定で、年間100台の販売目標を掲げています。この小型・軽量化されたシステムは、輸送や設置の負担が少なく、インフラが不十分な地域でも迅速に電力供給を実現できるため、国際的な社会貢献の可能性も秘めていると確信しています。
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