2019年の夏商戦を前に、エアコン市場は単に部屋を冷やす・温めるという枠を超え、「ワンランク上の快適さ」を目指して急速に進化しています。特に注目を集めているのは、充実した加湿機能と、部屋にいる人の位置や動きを細やかに察知する人感センサーの搭載です。さらに、人工知能(AI)を活用して温度や湿度を自動で最適化する機能が加わり、各社はこれまでにない快適性を打ち出し、熾烈な競争を繰り広げているのです。
前年の2018年夏は記録的な猛暑に見舞われたこともあり、エアコン販売は非常に好調でした。日本電機工業会(JEMA)の発表によると、2018年度の国内出荷額は前年度比で9.5%増の8,044億円、出荷台数も8.4%増の981万台と、目覚ましい成長を遂げています。しかしながら、JEMAが2019年3月に公表した見通しでは、夏の気温が平年並みと予測され、前年度の好調な反動で販売減も予想されています。この状況下で、秋に予定されている消費増税前の駆け込み需要への期待はあるものの、やはり製品の持つ機能面の魅力が、今年の売れ行きを大きく左右すると見られています。
大手家電量販店ビックカメラの情報によれば、今年の売れ筋の中心となっているのは、主に18畳から20畳のリビングに対応する、価格帯が20万円から30万円台の製品群です。これらは各メーカーの最上位機種に該当し、担当者も「他社との違いが最も出やすい」と語るように、高機能モデルが消費者の関心を集めていることが分かります。こうしたハイエンドモデルに搭載されている最新技術こそが、夏商戦の鍵を握るでしょう。
空調専門メーカーであるダイキン工業は、空調技術を活かした独自の加湿機能に強みを見せています。最上位モデルには、ユーザーが水を補給する手間なく、室外機が自動的に屋外の空気中の水分を取り込んで加湿する無給水加湿技術が採用されています。この革新的なシステムに加え、AIが室内の温度や湿度、壁からの放射熱(壁などから出る熱)、さらにはリモコン操作履歴までも総合的に分析し、温度や気流の調整に加えて湿度も自動で最適な状態にコントロールするのです。この「湿度まで自動調整」という機能は、乾燥しやすい現代の住宅環境において、非常に魅力的なポイントだと私は考えます。
一方、パナソニックは、あらゆるモノがインターネットとつながる「IoT(アイオーティー:Internet of Things)」技術の活用に注力しています。スマートフォンの専用アプリを利用すれば、外出先からでもエアコンの電源のオン・オフを操作できるのはもちろんのこと、エアコンをつけっ放しにしたまま外出した場合には、アプリがそれを検知して通知する便利な機能も搭載しています。さらに、花粉やPM2.5(ピーエム・ニーテンゴ:微小粒子状物質)の飛散予報などの外部情報に基づき、AIが空気の汚れをあらかじめ予測して、先回りして空気をきれいにするという、未来志向の機能も備えています。
三菱電機の製品に搭載されている「ムーブアイ」センサーは、人間の存在する場所と、実際にその人が感じている体感温度を詳細に計測する高精度な技術です。このセンサーが部屋にいる人々の快適度を推測し、冷暖房と送風を自動で切り替えて運転してくれます。さらに、風を送る方向を制御するフラップを左右に二分割し、異なる場所にいる人それぞれに最適な風を送り分けることが可能です。例えば、「体温が低くて冷えやすい奥様には風を送らず、暑さを感じているご主人様にはしっかりと風を当てる」といった、家族構成や個々の体感温度に合わせたきめ細かな調節が可能になるのです。このピンポイントでの温度調整機能は、生活の質(QOL)向上に直結する、非常に実用性の高い進化と言えるでしょう。
お手入れの負担を軽減する自動洗浄機能とSNSでの反響
日立ジョンソンコントロールズ空調の製品は、エアコン内部の清潔さを保つ、独自の自動洗浄機能が特長です。内部にある熱交換器(空気を冷やしたり温めたりする部品)を一時的にマイナス15度まで凍結させ、できた霜を一気に溶かすことで、悪臭の原因となるホコリやカビを洗い流します。この技術により、通常はお手入れが難しく、不潔になりがちな熱交換器の表面を清潔に保てるのです。さらに、風を送るファンに付着したホコリまで自動で洗い落とすため、ユーザーのメンテナンスの負担を大幅に軽減してくれます。
これらの最新技術は、SNS上でも大きな反響を呼んでいます。特に「給水不要の加湿機能は本当にありがたい」「夫婦で体感温度が違うから、ピンポイントで風を分けられる機能は画期的」といった、ダイキンや三菱電機の技術に対する具体的な利便性を評価する声が多く見られます。また、「日立の凍結洗浄はカビ対策に良さそう」と、清潔性を重視するユーザーからの関心も高いようです。AIやIoTといった最新のスマート家電技術は、もはや「あれば便利」ではなく、日々の生活に欠かせない機能として、消費者に強く認識されていることがうかがえます。今年の夏商戦は、単なる冷房能力だけでなく、「いかに快適で手間いらずな生活を提供できるか」という、付加価値の勝負になるでしょう。
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