2019年6月28日、建設業界は技術開発への投資を加速させています。その中心となるのが、各社が新たに建設、あるいは改修を進めている技術研究所の存在です。目覚ましい業績の好調さを背景に、企業は単に「建物を造る」という請負業務から脱却し、インフラ保全や省エネ・創エネといった未来を見据えた新技術の創出に本腰を入れているのです。この技術革新への熱意こそが、今後も業界全体の成長を支える屋台骨となるでしょう。
特に注目すべき動きとして、外部の技術やアイデアを積極的に取り込むオープンイノベーションが挙げられます。例えば、前田建設工業は2019年2月、茨城県取手市に新技術研究所「ICI総合センター」を開所しました。この施設は、業務拠点の「エクスチェンジ棟」やリラックス空間を備えた「ネスト棟」、さらには最新鋭の実験棟2棟に加え、廃校を活用した研修施設(2019年秋オープン予定)で構成されているのです。前田建設が掲げる「脱請負」の実現、そしてインフラ運営事業などの多岐にわたる事業展開において、「最適な提案は一社単独の力では成し得ない」と前田操治社長は述べています。そのため、スタートアップ企業などの技術を持つ外部との連携を深める拠点として、この施設を活用していく方針なのです。
また、技術研究所は、環境配慮型の施工技術を世にアピールする「ショールーム」の役割も果たしています。東急建設は、相模原市にある技術研究所の「管理研究棟」を改修する際、東芝の水素エネルギー供給システムを導入しました。これにより、一般的な建物と比較して省エネ率が50%以上という、極めて高い環境性能を持つ「ZEB(ゼブ)レディ」と呼ばれる水準を達成しています。ZEBとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の略で、建物で消費するエネルギーを、省エネや再生可能エネルギーの導入によって、実質ゼロにすることを目指した建物のことです。ZEBレディは、ZEBの実現に向けた優れた省エネ性能を有していることを示しています。
前田建設工業の「エクスチェンジ棟」も、建築物の環境性能を評価する国際認証「LEED(リード)」の最高位を獲得するなど、高い環境意識を裏付けています。**ESG(環境・社会・ガバナンス)**への意識が世界的に高まる中、特に外資系企業を中心に、オフィスビルへの入居判断において環境性能の優劣が決定的な要因となるケースが増加しているのです。ゼネコン各社は、このような環境技術で他社との差別化を図り、ビル建築の受注を拡大する戦略を描いていると言えるでしょう。
設備工事業界も活発化!技術力こそが収益の源泉
技術研究所の設立ラッシュは、ゼネコン業界に留まらず、設備工事業界にも波及しています。三機工業は2018年10月に研修機能と研究機能を融合させた「三機テクノセンター」を新設しましたし、高砂熱学工業も茨城県つくばみらい市に「(仮称)イノベーションセンター」を2020年3月に開設する予定です。設備工事業界における技術力は、建築物の省エネ化や快適性を担保する上で極めて重要であり、まさに収益を生み出す源泉そのものなのです。業界が全体として好況であるこの機を捉え、各社が将来の会社の基盤を固めるための技術開発投資を続けている状況は、非常に前向きで健全な成長の証だと評価できます。
一連の動きは、単なる企業の投資活動を超え、日本のインフラを支え、持続可能な社会を実現するための重要な取り組みであると考えます。特に、災害が多い日本において、インフラの維持管理(インフラ保全)は喫緊の課題であり、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの最新技術を応用した研究施設での取り組みは、その解決の鍵を握るでしょう。この「技術への飽くなき探求心」が、日本の建設・設備工事業界をさらに進化させ、グローバルな競争力を高める推進力となるに違いありません。SNSでも、これらの技術研究所の新設や環境技術への取り組みに対して、「未来志向で素晴らしい」「日本の技術力が世界をリードしてほしい」といった、期待や応援の声が多く寄せられている様子です。
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