2019年5月29日付の報道は、米中貿易摩擦の激化によって先行き不透明感が増す東京株式市場で、投資家の**「安全志向」が鮮明に強まっている状況を伝えました。5月28日の日経平均株価は小幅高にとどまりましたが、その内情を見ると、資金が時価総額の大きい大型株**や、株価の値動きが小さい低変動率(ボラティリティー)銘柄へと集中していることが浮かび上がりました。
通常、海外景気が悪化すると、その影響を受けにくい内需系企業が多い中小型株に資金が向かいやすい傾向があります。しかし、この時期は様相が異なりました。4月末からの下落率を比較すると、東証1部の大型株が3%安と底堅かったのに対し、中型株は6%安、小型株も4%安と、むしろ大型株の底堅さが際立っていたのです。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の専門家は、「投資家が、売りたい時に売れない流動性リスクを警戒しているため」と、その理由を指摘しました。
米中対立は政治色が強く、個別企業の業績への影響が見通しにくい状況でした。このため、投資家心理は「ここからの株高に備えて持ち高を増やすより、負けを最小限に抑えたい」という弱気姿勢に傾いていました。この安全志向の高まりは、低変動率銘柄への資金流入からも読み取れます。低変動率銘柄は、株安局面で市場平均よりも下がりにくい特徴があり、日経平均を上回る騰落率を記録していました。
実際、5月28日には、低変動率銘柄の代表格であるNECが2015年以来、3年半ぶりの高値をつけたほか、KDDIも年初来高値を更新する場面がありました。SNS上では当時、「今は大きなリスクは取れない」「とりあえずディフェンシブ(守り)の株に避難する」といった、投資家の警戒感が如実に示されていました。
コラムニストとしての私の意見ですが、この株価の動きは、市場が「中身」を重視し始めたサインです。米中問題が進展するかどうかが見えない限り、投資判断ができないため、資金が流動性が高く、業績が安定している大型株や、変動リスクの小さい銘柄に集中するのは当然の現象だと言えるでしょう。大阪で6月28日と29日に予定されていたG20首脳会談を通過するまでは、この安全志向に基づく資金の流れが続きそうだと言えるでしょう。
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