2019年6月28日、世界経済が固唾を飲んで見守る中、アメリカ政府による過去最大規模の対中制裁関税「第4弾」に関する公聴会が終了しました。米通商代表部(USTR)が6月25日に終えたこの公聴会では、わずか7日間で企業や業界団体の約320人が証言台に立ち、そのほとんどが関税に対する強硬な反対意見を表明したのです。対象となるのは約3000億ドル(日本円で約33兆円)相当の中国製品、これは中国からの輸入総額の約5割に相当する膨大な品目です。
今回、第4弾として追加関税の対象になったのは、携帯電話、パソコン、衣料品、玩具など、これまでの制裁では消費者の生活への影響を考慮して避けられてきた電子機器や生活必需品が全て含まれています。最大25%の追加関税が課されることになれば、アメリカ国内の消費者や企業に甚大な負担が生じることは避けられません。この公聴会の結果、そして、この直後に控えるG20大阪サミットでのトランプ米大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談で、この貿易戦争の行方が大きく左右されることとなるでしょう。
世界的大企業が続々と「関税除外」を訴えた理由
公聴会には、小売業のベストバイ、アパレル大手のフォーエバー21、ゲーム会社、そして日系企業を含む多岐にわたる企業が参加し、追加関税の撤回や、せめて対象品目からの除外を強く要望しました。彼らが懸念するのは、主に「消費者への負担」と「代替調達先の確保の困難さ」の2点です。例えば、家電量販大手のベストバイは「消費者への負担が非常に大きい」と訴え、アパレル大手のフォーエバー21は「品質とコストを考えれば、中国以外から輸入する選択肢が存在しない」と、現状のサプライチェーン(製品の原材料調達から最終的な消費者に届くまでの全工程)を簡単に変更できない実態を明かしています。
さらに、テクノロジーの巨人である米アップルも、主力のスマートフォン「iPhone」を含むすべてのアップル製品を関税対象から除外するよう意見書を提出しています。また、日本のゲーム大手であるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)も、主力ゲーム機「プレイステーション4」を中国で製造しアメリカへ輸出しているため、「ゲームへの課税は米国の技術革新に悪影響をもたらす」と懸念を表明しました。こうした声から、今回の関税措置が、アメリカ経済全体に広く、深く影響を及ぼすことが浮き彫りになります。
「適用除外」の壁と過去の事例
USTRは、追加関税の適用を免除するための条件として、主に次の3点を挙げています。(1)その製品が中国からしか入手できないこと、(2)追加関税によって申請者や米国の経済的利益が著しく損なわれること、そして(3)中国の産業プログラム「中国製造2025」の重要品目ではないこと、です。しかし、過去の事例を見てみると、(1)の「中国以外で代替調達が不可能」であることを認めさせるのは極めて難しい状況です。米化学工業協会(ACC)は過去、化学製品とプラスチック製品について関税対象からの除外を求めましたが、一切認められなかった前例もあります。
実際に、2018年9月に発動された約2000億ドル相当の「第3弾」追加関税では、当初の原案からアップルの腕時計端末「アップル・ウオッチ」やチャイルドシートなどが除外された事例もあるため、企業側の要望が全く通らないわけではありません。こうした期待と不安が交錯する中で、今回の公聴会では関税の撤回だけでなく、発動までの猶予期間を求める意見も目立ちました。例えば、衣料品メーカーの47ブランドは「中国に代わる調達先を探す必要がある」として、発動を12カ月遅らせるよう要望しています。
編集者からの一言:世界が注目する米大統領の「最終判断」
今回の「第4弾」関税は、「すべての中国製品」への課税を前提としており、これまでの関税措置のように品目の入れ替えの余地がほぼない状況です。つまり、企業からの適用除外の要望をどこまで認めるかが、トランプ政権にとって最大の焦点となるでしょう。企業側の切実な声を踏まえれば、無条件の全面課税はアメリカ国内の景気を著しく冷え込ませる恐れがあり、トランプ大統領の「アメリカ第一主義」の看板にも傷がつきかねません。
SNS上では、「関税で消費者の生活が苦しくなるのは勘弁してほしい」「中国製品なしで生活できるのか?」といった一般消費者の不安の声と、「貿易戦争を終わらせてほしい」という企業経営者層の悲鳴が錯綜しています。私自身の意見としては、対中貿易不均衡是正という目標は理解できるものの、この規模の関税措置が世界経済に与える負の影響は計り知れません。G20大阪サミットでの首脳会談によって、この膠着した状況が打開に向かうことを強く期待しています。
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