造船業界を牽引する大手のツネイシホールディングス(広島県福山市)が、2020年12月期の連結業績予想の公表を一旦見送る判断を下しました。世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、将来の経営環境を見通すことが極めて難しくなったためです。
前年にあたる2019年の建造実績に目を向けると、年間で46隻と前年から6隻増やす目覚ましい成果を上げていました。これまでの主力であった、鉱石や穀物を梱包せずにそのまま積み込む「ばら積み船」だけでなく、荷物を集積した箱を積む「コンテナ船」などへ対象船種を多角化した戦略が大きな実を結んでいます。
受注状況に関しても2019年は前年より12隻多い44隻を記録しており、事業展開は非常に順調そのものでした。手元に残っている受注済みの工事量を示す「手持ち工事量」も、2021年一杯までの作業分をすでに確保できている状態です。
注目すべきは中国やフィリピンに構える海外生産拠点の存在でしょう。現地の労働者を積極的に雇用している構造が功を奏し、現時点では感染拡大による操業への深刻な悪影響を回避できています。SNS上でも「海外工場の安定した稼働は頼もしい」「先行き不透明な中でも底力を感じる」とポジティブな反響が広がっています。
しかしながら、パンデミックの収束時期次第では世界的な物流の滞留を引き起こし、海運市場全体が落ち込む危険性と隣り合わせです。長引く停滞が及ぼすダメージは決して無視できるものではありません。
個人的には、今回の決算予想の見送りはリスク管理として極めて妥当であり、賢明な判断だと評価できます。先行きが不透明な時代だからこそ、多角化戦略と海外拠点の強みを最大限に活かし、この困難を乗り越えてほしいところです。
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