感染症予防の意識が高まる中で、アルコール消毒液の需要が爆発的に跳ね上がっています。関西を中心に展開する大手化学メーカー各社は、市場の品薄感を解消するために連日フル稼働で製造を継続中です。しかし、押し寄せる膨大な注文数に対して供給が追いついておらず、深刻な品不足状態が続いています。
代表的な手洗い消毒薬である「手ピカジェル」の製造元として知られる健栄製薬(大阪市)も、怒涛の増産体制へと足を踏み入れました。2020年04月01日より三重県松阪市の主要工場へ作業員を40名追加配置し、体制の強化を図っています。この素早い決断によって、1日あたりの出荷量は1月以前の4倍に及ぶ12万5000本へ一気に引き上げられました。
ネットやSNS上でも、「ドラッグストアを何軒ハシゴしても買えない」「現場の作業員の方々には本当に感謝しかない」といった声が相次いでいます。消費者の切実な悲鳴と生産者への労いが交錯しており、社会的な関心の高さがうかがえるでしょう。最前線で製造を続けるスタッフの熱意には頭が下がる思いです。
増産に注力する一方で、企業側は「ライン拡張」という極めて困難な事業判断に頭を悩ませています。生産ラインの新規建設には莫大な設備投資、つまり将来の収益を見越して工場や機械へ巨額の資金を投入するリスクの伴う決断が必要不可欠だからです。もし増設が完了した後に特需(一時的な急激な需要増加)が収束すれば、巨大な投資が裏目に出て経営を圧迫しかねません。
需要のピークがいつまで続くのか見通せない現状において、積極的な投資に踏み切るか否かは経営陣にとって胃が痛む思いのはずです。社会貢献という使命感と企業存続のリスク管理の狭間で揺れる姿勢には、深い同情と敬意を禁じ得ません。行政による費用補助など、現場を支援する施策の早期拡充が強く求められています。
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