🔥米中貿易戦争がベトナム経済を爆速成長へ!2019年4~6月期**6.71%**成長の裏側とトランプ政権の警戒【チャイナプラスワンの光と影】

2019年6月28日、ベトナム統計総局が発表した2019年4月~6月期の実質成長率は、対前年同期比で6.71%という目覚ましい伸びを記録しました。これは事前の市場予測を上回る結果であり、世界経済の中でも東南アジア主要国としては最高水準の成長ペースだと言えるでしょう。この躍進の背景には、激化する米中貿易戦争の存在があり、中国からの生産移転がベトナム経済に強力な追い風をもたらしている状況です。

2019年1月~3月期の6.82%からはわずかに減速したものの、米ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の6.61%を上回り、ベトナム経済の堅調さが際立っています。この成長を牽引しているのは、何といっても対米輸出の急増です。2019年1月~6月期の対米輸出額は、前年同期比で27%も増加し、輸出全体(1220億ドル、同7%増)を大きく押し上げているのです。これは、米国が中国製品に課している制裁関税を回避するため、中国国内の生産拠点を、比較的生産コストの低いベトナムへ移転させる動きが顕著になっているためでしょう。

👉SNSでも「ベトナム株が熱い」「ベトナムへの工場移転の話をよく聞く」といった声が散見され、この経済的なシフトは大きな注目を集めています。ベトナムはかねてより、生産拠点を中国一極集中から分散させる「チャイナプラスワン」政策の最有力候補地とされてきましたが、米中貿易戦争の激化によって、その流れが一気に現実味を帯びてきたと筆者は考えています。ベトナム経済は今、まさに転換期を迎えていると言えるでしょう。

2019年4月~6月期の国内総生産(GDP)を細かく見ていくと、生産面では主要産業である製造・加工業の付加価値が前年同期比で11%増と高い伸びを示しています。これは、台湾プラスチック(台湾塑膠工業)系の高炉の鋼材生産が増加したり、出光興産などの製油所がフル生産の状態を継続したりしていることが貢献しています。また、支出面では、GDPの約7割弱を占める最終消費支出(個人消費など)も前年同期より7%増と堅調で、中間層の増加を背景にスーパーやコンビニエンスストアの店舗拡大が続いていることも、経済を下支えしています。

スポンサーリンク

急増する生産移転と港湾能力の強化

特に中国との国境に近い北部のハイフォン市は、主要な輸出港を擁していることもあり、その恩恵を最も受けている地域の一つです。ハイフォンの実質成長率は2018年に16%に達しており、2018年7月に米国が対中制裁関税の第1弾を発動した米中貿易戦争の「特需」を享受している状況がうかがえます。この対米輸出の増加傾向は、さらに加速する可能性を秘めているのです。

その背景にあるのが、港湾インフラの進化です。以前はハイフォンから製品を小型船でシンガポールや香港へ運び、そこで大型船に積み替えて米国へ輸出するのが一般的でした。しかし、浚渫(しゅんせつ)工事(港湾などの水深を深くする工事)が完了した結果、2019年5月には米西海岸へ直接航海できる大型コンテナ船がハイフォンに寄港できるようになりました。米系の物流業者によれば、これにより「米国への航海期間を1週間程度短縮できる」とのことで、物流効率の飛躍的な向上に直結しています。

また、ハイフォン最大の工業団地「DEEP C」には、工場移転を検討するために視察に訪れる中国企業の関係者が目立っています。実際に、中国からベトナムへの新規投資認可額は、2019年1月から6月20日までの累計で16億7600万ドルに達しており、これは前年同期の約5倍という驚異的な伸びです。みずほ総合研究所が2019年7月4日に発表した報告書では、米中が互いに相手の全製品に25%の制裁関税をかけた場合、「ベトナムのGDPを年率で1.2ポイント押し上げる」との試算も出ており、ベトナム経済が今後も成長を続ける可能性は非常に高いでしょう。

トランプ政権の警戒とベトナムが抱える「光と影」

しかしながら、この急速な対米輸出の増加は、トランプ米政権を刺激し始めています。米国は、対ベトナムとの貿易赤字の拡大を懸念しているだけでなく、中国が原産地を隠してベトナムを経由させる「迂回輸出」を行っている可能性も警戒しているのです。トランプ大統領は2019年6月26日に、もしベトナムが「迂回輸出」を取り締まらなければ、ベトナムにも制裁関税を課す可能性を示唆しました。

これに対し、ベトナム政府はすでに税関のスタッフ増員などの対策を打ち出しており、米国の懸念に対応する姿勢を見せています。さらに、米財務省が2019年5月に公表した半期為替報告書では、ベトナムが「監視リスト」に加えられています。これは、対越赤字の拡大が明白になった場合、米当局がベトナムの為替政策(自国通貨の価値を意図的に調整する政策)を非難し始める可能性を示唆しており、今後、ベトナム経済にとって大きなリスクとなり得ると言えるでしょう。

ベトナム経済は今、米中貿易戦争という巨大な波に乗り、大きな成長のチャンスを手にしています。しかし、その成長のスピードと、それに伴う対米貿易黒字の急増は、新たな火種となる可能性を秘めているのも事実です。ベトナム政府には、この「光と影」を正確に把握し、持続可能な成長と、米国との健全な関係を両立させるための、より巧妙な政策運営が求められていると私は考えます。今後のベトナムの動向から、ますます目が離せません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました