米菓最大手・亀田製菓が挑む「食の多様化」!玄米メーカー・マイセン買収で加速するグルテンフリーと代替肉市場

米菓業界のトップランナーである亀田製菓が、2019年(令和元年)2月に玄米食品メーカーのマイセン(福井県鯖江市)を傘下に収めるという、業界で大きな話題となる買収を行いました。マイセンが提供する玄米由来のパンや代替肉といった商品は、現代の食生活の多様化に伴い、需要が急増している分野です。亀田製菓は、2019年(平成31年)3月期には念願の売上高1,000億円を初めて達成しましたが、中期経営計画で掲げた「米菓から食品業への転換」はまだ道半ばと認識しているようです。この転換を本格的に進め、さらなる成長を遂げるために、マイセンは欠かすことのできない戦略的な存在となっていると言えるでしょう。

福井県鯖江市の田園地帯に佇むマイセンの工場は、2016年(平成28年)に完成した、国内でも珍しい専門的な設備を誇ります。この工場は、小麦を一切使用しない「グルテンフリー」商品や、ベジタリアン向けの食品製造に特化しています。さらに徹底しているのは、大豆を除く27種類のアレルゲン品目(アレルギーを引き起こす可能性のある物質)の持ち込みが禁止されている点です。これは、アレルギーを持つ消費者が安心して口にできる製品を提供するという、同社の強いこだわりと安全への配慮を示すものだと感じられます。

近年、日本を含む先進国では、アレルギー患者が増加傾向にあります。日本においては、花粉症なども含めれば国民の3人に1人が何らかのアレルギーを持っていると推計されています。このような背景から、グルテンフリーやアレルゲンフリーの食品は、アレルギーに悩む方々だけでなく、動物性食品を避ける**ヴィーガン(完全菜食主義者)や、より健康的な食生活を志向する消費者からも大きな注目を集めているのです。SNSでも、「グルテンフリーのパンを試してみたい」「環境のために代替肉を取り入れたい」といった声が増えており、「体に優しい食品」**への関心の高まりが伺えます。

成長へのカギは「販路」と「増産」体制の強化

亀田製菓の売上高の約8割は国内の米菓事業に依存していますが、食の多様化と健康意識の高まりにより、米菓市場の大きな成長は見込みづらくなっています。この状況を打開するため、2018年(平成30年)5月に発表された中期経営計画では、米菓専業から脱却し、「体にいいモノ」をコンセプトとした食品事業の強化が明確に打ち出されました。マイセンに出向している村井龍昭社長は、「マイセンは亀田が目指す方向にぴったり合う企業だった」と述べており、両社の目指す方向性が一致していたことが、今回の買収の決め手になったのでしょう。

買収が完了した2019年2月以降、まず着手されたのがマイセン商品の販路拡大です。これまでマイセンは、OEM(オーイーエム:相手先ブランドによる生産)も手掛けていましたが、自社製品の販路は自社ECサイトと一部の卸売業者に限られていました。一方、亀田製菓グループは、全国のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホテルなど、非常に幅広い販売チャネルを持っています。この強大な販路を活用し、既にマイセン商品の販売が決まっており、今後はさらに拡大していく予定です。

販路の拡大と需要の増加を見据え、マイセンでは増産体制の整備も急ピッチで進められています。現在の工場には、「玄米パン・菓子」用と「代替肉」用の2つの生産ラインがあり、1日交代で稼働している状況です。今後、亀田製菓の傘下で販路やOEMの依頼がさらに増加すれば、現在の工場に近接する場所にもう1棟の工場を新設する計画があるようです。需要が高まる代替肉は、ベジタリアンだけでなく、健康を意識する一般消費者からも注目されており、この増産計画は、持続可能な食の未来への投資であると言えるでしょう。私自身、この動きは、日本の大手食品メーカーがグローバルな食のトレンドに対応し、単なるお菓子メーカーから総合食品企業へと進化しようとする意欲的な姿勢を示すものだと評価しています。

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