2019年5月29日の発表によると、半導体製造装置の部品を手がける横浜市のサンユー機工が、事業の大きな転換点に立っています。同社は、これまでの部品製造から一歩踏み出し、完成品である装置そのものの製造に乗り出すことを決定しました。これは、取引先のより広範な要望に応えるため、そして会社のさらなる成長を目指すための戦略的な動きであります。この大規模な転換を実現するため、同社は約4億円以上を投じ、本社工場の移転と拡張に踏み切る計画を明らかにしました。
この積極的な投資の背景には、明確な成長目標があります。サンユー機工は、2028年4月期までに売上高を2018年4月期の実績から2.5倍となる10億円にまで拡大することを目指しています。同社はこれまで、半導体製造装置に使用される配管や高圧容器など、多岐にわたる部品の製造を専門としてきました。しかし、部品製造にとどまらず、装置の完成品までを手がけることで、より高い収益性が見込める分野への参入を図り、業容の拡大に繋げたい考えでしょう。
🏭新工場で実現する一貫製造体制
新工場の建設地は、現在の横浜市都筑区にある工場と同じ区内の別の用地に確保されました。新しい工場の敷地面積は現在の工場の2.6倍にあたる608平方メートル、延べ床面積も2.1倍の886平方メートルに大幅に拡大されます。設備の面では、既存工場で部品製造に使っている切削や溶接などの工作機械を移設するとともに、完成品の製造に必要な工作機械を新たに2台増設する予定です。
さらに特筆すべきは、3階建ての新工場の1階部分に、クリーンルーム付きの作業場が設けられることです。クリーンルームとは、空気中の浮遊微粒子や微生物などが厳しく制御された清浄な空間のことで、半導体製造装置のような高度な精密機械の組み立てには欠かせない設備であります。これにより、部品の製造から、装置の組み立てまでを自社で一貫して行える体制が整うことになります。
建設工事は夏を目途に着手し、2019年内に竣工・稼働開始を目指すというスピーディーなスケジュールが組まれています。土地の取得費用や建設費用などを合わせた総投資額は、4億円強となる見込みです。現在の工場は新工場の稼働後に閉鎖され、製造に携わる人員も現在の5人から順次15人へと大幅に増やしていく計画です。この増員は、新たな事業展開への本気度を示すものでしょう。
🤖AI・IoT時代を見据えたオーダーメイド戦略
サンユー機工が自社で製造するのは、主に試作品の製造などに使用する、比較的規模の小さい装置となる見込みです。具体的なターゲットとしては、スーパーコンピューターやサーバーといった情報通信機器向けの半導体製造装置などを手がける計画があります。特筆すべきは、基本的に取引先企業それぞれの個別の要望に応じて、オーダーメイドで製造するという戦略です。これは、同社の持つ長年の部品製造のノウハウと高い技術力を活かし、きめ細やかなニーズに応えることで、付加価値の高いビジネスを展開しようという意図が見て取れます。
現在の工場では作業スペースの制約があったため、部品製造に留まらざるを得なかったとのことですが、新工場ではまず部品製造を主軸としつつ、徐々に装置製造の比重を増やしていく方針です。装置は部品単体で販売するよりも利益率が高いため、この事業転換は企業の収益構造を大きく改善する可能性を秘めていると言えるでしょう。
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の予測では、2019年の半導体装置の世界販売額は前年比4%減と見込まれており、スマートフォン需要の鈍化や米中間の貿易摩擦などがその背景にあるとされています。しかし、小泉宏社長は、中長期的な視点から、「人工知能(AI)や、IoT(あらゆるモノがインターネットにつながる仕組み)が普及するにつれて、半導体の需要は必ず拡大していく」と、今後の市場の成長を確信しているご様子です。
SNS上でも、「部品から完成品へは大きなステップ」「ニッチな分野で勝負するのは面白い」「AI時代に必要な装置に特化するのは賢明」といった、期待と好意的な意見が多く見受けられます。私自身の考えとして、半導体は現代社会の「産業のコメ」であり、その製造装置の進化は未来の技術革新に直結します。サンユー機工の今回の挑戦は、一見小さな部品メーカーの事業拡大に見えますが、中長期的に見れば日本のモノづくりと先端技術の未来を支える、非常に重要な戦略だと評価できるでしょう。
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