2019年7月2日現在、為替市場においてメキシコの通貨「ペソ」の値動きが非常に荒くなっています。投資家の皆さんにとっても、心穏やかではない状況が続いているのではないでしょうか。これまで1ドル=19ペソ台前半で比較的安定して推移していた相場ですが、ある出来事をきっかけに風向きが大きく変わりました。
その発端となったのは、2019年5月30日に米国のトランプ政権が発表した衝撃的な声明です。不法移民対策を巡るメキシコ側の対応への不満から、同国からの全輸入品に対して追加関税を課すという内容でした。このニュースが報じられるやいなや、経済への悪影響を懸念した売り注文が殺到し、市場はパニック状態に陥ったのです。
SNSでも悲鳴!「トランプ砲」による急落と反発
当時のSNS上の反応を見てみると、「またトランプ砲か」「ペソが紙屑になる」といった投資家たちの悲鳴にも似た投稿が相次ぎ、タイムラインが騒然としていたのを覚えています。実際、レートは一時1ドル=20ペソ近くまで急落し、年初来安値を更新する事態となりました。
しかし、ここから事態は急展開を迎えます。メキシコ政府が即座に外相らをワシントンへ派遣し、粘り強い交渉を行った結果、追加関税の発動は「無期延期」という形で合意に至りました。これによりペソは急速に買い戻され、値を戻す展開となっています。
くすぶる火種と見えない出口
ひとまず最悪の事態は回避されましたが、これで安心できるかと言えば、決してそうではありません。合意はあくまで「移民対応次第」という条件付きであり、再び関税カードが切られる可能性は残されたままです。さらに、NAFTA(北米自由貿易協定)に代わる新協定についても、米国やカナダでの批准の見通しが立っていないのが現状です。
ここで用語の解説をしましょう。NAFTAとは、米国、カナダ、メキシコの3カ国間で関税撤廃などを定めた協定のことですが、トランプ政権はこの見直しを強く求めてきました。この新協定がスムーズに発効するかどうかが、メキシコ経済の命運を握っていると言っても過言ではありません。
編集後記:政治リスクに翻弄される市場
加えて私が懸念しているのは、メキシコ国内の政治情勢です。左派のロペスオブラドール政権による政策運営の混乱から、足元の経済成長は大幅に鈍化しています。最大の貿易相手国である米国との関係が再びこじれれば、ペソが再度急落する局面も十分に予想されるでしょう。
個人的な意見としては、現在は「安易な押し目買い」は推奨できません。トランプ大統領のツイート一つで相場が激変する現状では、ファンダメンタルズ分析以上に政治的なニュースへの感度を高める必要があります。常にリスク管理を最優先にしたトレードを心がけるべき時だと言えます。
なお、2019年6月28日までの1週間の外為市場に目を向けると、ニュージーランドドルが上昇しました。こちらは中央銀行が利下げを見送ったことが好感され、買いが入った形です。世界経済全体が各国の政策決定に揺さぶられている今、多角的な視点を持つことが重要ですね。
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