🔥インバウンドと高齢者回帰が牽引!2019年路線価で見る「地価上昇」の波と地方再生への道

2019年7月1日に国税庁が発表した2019年分(1月1日時点)の路線価は、全国平均で前年比1.3%の上昇となり、4年連続で地価が上がったことが明らかになりました。この上昇率は直近4年間で最大を記録しており、日本経済の重要な資産である「土地」の価格に、明確な回復基調が表れていると言えるでしょう。地価の動向は、単に相続税や贈与税の算定基準となるだけでなく、金融機関の融資評価や、私たちの消費行動にも大きな影響を及ぼします。

地価の上昇を力強く後押ししている二大要因として、訪日外国人(インバウンド)の増加と高齢者の都市部への回帰が挙げられます。特に、観光客に人気の高い地域では、ホテルや商業施設の建設需要が高まり、地価を押し上げる原動力となっているのです。都道府県別の地価上昇率ランキングでは、訪日客が殺到する沖縄県が8.3%という突出した伸び率で堂々の首位を獲得いたしました。さらに、大都市である東京都も4.9%の上昇率となり、前年の4.0%からさらに拡大するなど、観光需要の旺盛さが際立っています。

長らく地価低迷にあえいでいた地方にも、回復の兆しが見え始めました。石川県と大分県は、実に27年ぶりに路線価が上昇に転じています。石川県は0.7%の上昇で、北陸新幹線開通効果が継続し、金沢市では人口が約5倍の名古屋市に匹敵するほどのホテル客室数を誇る状況です。一方、大分県は別府市や由布市といった温泉地が人気観光地として国内外から注目を集めていることが地価を支えています。三大都市圏(関東・関西・中部)以外の地方でも訪日客の消費が増加しており、2019年の観光白書によると、2018年には地方での訪日客消費が都道府県合計の28.5%に達し、2015年と比べて約5ポイントの上昇が見られました。全国27県で下落は続いているものの、22県では下落幅が縮小しており、地方経済にとって非常に明るい材料と言えるのではないでしょうか。

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高齢者回帰と地方中心街の「値ごろ感」が地価を支える

訪日外国人による需要だけでなく、もう一つの重要な変化が高齢者の都市部への回帰です。団塊の世代などが退職を迎え、自家用車が必須の郊外から、病院や商業施設が徒歩圏内にあり、生活しやすい都市部の中心地に住み替える動きが見られます。こうした需要が、地方都市の駅前や商業施設周辺の地価を下支えしています。また、地方の中心地は長期間にわたって地価が下落してきた経緯があるため、現在では値ごろ感があると認識されていることも、回帰を促す要因となっているようです。三井住友トラスト基礎研究所の北村邦夫研究理事は「地価の下落を好機と捉え、地域の規模や特性に合った開発を進めていくべきである」と提言しています。私も、ただ単に地価上昇を待つのではなく、この「値ごろ感」を活かした独自の街づくり戦略こそが、持続的な地方再生のカギになると考えます。

一方で、依然として深刻な問題が人口減少です。これは地価を下落させる強力な圧力として残っています。2019年には福井県と和歌山県で下落率が拡大し、プラス圏にあった滋賀県が下落に転じました。特に福井県では、郊外の大型商業施設への顧客流出や、店主の高齢化による個人商店の需要低迷が響いています。地価が下がってしまうと、当然ながら個人や企業の資産価格も目減りし、消費を冷え込ませる逆風となり、地方経済全体にとって大きな打撃となってしまうでしょう。

大都市圏の地価上昇にも変化の兆しが見られます。34年連続で全国最高価格地点となっている東京・銀座の「鳩居堂」前の銀座中央通りは、1平方メートルあたり4,560万円と、前年比2.9%の上昇を記録しました。しかし、その伸び幅は昨年の9.9%から大きく鈍化している状況です。同様に、横浜市の最高価格地点は伸び幅が横ばいで推移し、名古屋市では伸び幅が縮小するなど、一部では地価上昇に一服感が見られ始めていると言えます。

この背景には、不動産市場における投資マネーの減速があります。都市未来総合研究所によると、昨年度(2018年度)の不動産取引額は約3兆6千億円となり、2012年度以来6年ぶりに4兆円を割ってしまいました。これは物件価格が高騰したことで市場に過熱感が意識され始めたためですが、同社の平山重雄常務研究理事は「投資対象となる優良物件が品薄になっていることが背景にあり、投資意欲そのものが衰えているわけではない」との見解を示しています。つまり、投資家は資金を抱えているものの、高騰しすぎた物件には手が出しにくくなっている状況と分析できるでしょう。

今回の路線価の発表は、日本経済の「今」を映し出す鏡のようでした。訪日客と高齢者回帰という二つのトレンドが地方の地価を下支えし、回復の機運を生み出しているのは喜ばしいことです。しかし、持続的な地価上昇を実現し、この波を本当の意味での地方再生へと繋げるためには、経済の構造変化、特に人口減少という大前提をしっかり見据えた戦略的な街づくりが不可欠です。例えば、地価の定義である路線価は、主要な道路に面した土地の1平方メートルあたりの標準価格(1月1日時点)を示し、相続税や贈与税の算定基準として用いられるほか、銀行が融資の担保評価にも活用されています。このように広範な土地の相場を詳細に把握できる路線価を参考に、各地域が持つ「値ごろ感」と独自の魅力を最大限に活かした開発を、官民一体となって進めていくべきだと強く感じています。

SNSの反響:地方の希望と不安が交錯

今回の路線価のニュースに対し、SNS上では様々な反応が見られます。「沖縄の8.3%はすごい、観光地のポテンシャルを改めて感じる」「27年ぶり上昇の石川・大分は本当におめでとう!地方にも希望が見えてきた」といった、地価上昇に対する期待や喜びの声が目立ちます。特に、観光立国としての日本の可能性を再認識する意見が多く、インバウンド効果が経済を潤すことへの期待感の高さが伺えるでしょう。一方で、「結局、中心地だけが上がって、郊外はどんどん寂れていく」「人口減のプレッシャーは変わらない。一時的なブームで終わらないか不安だ」といった、地方の格差や持続性に対する懸念の声も上がっています。地価が回復しても、その恩恵が地域全体に波及せず、一部のエリアだけに集中してしまうことへの不安や、本質的な人口減少対策の必要性を訴える意見が、多くの地方在住者の本音を反映していると言えそうです。

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