日本の投資信託(投信)市場で、運用会社の真の実力が明らかになりました。日本株を主な投資対象とする投信について、過去10年間(2009年6月から2019年5月まで)の運用成績を調査したところ、驚くべき結果が判明しました。独立系の運用会社や外資系が上位に名を連ね、一方、国内の大手運用会社の平均成績は、同期間の日経平均株価(配当込み)のトータルリターン(年率約10%)をも下回る結果となったのです。この調査は、投信評価会社の三菱アセット・ブレインズが、純資産額500億円以上の19社を対象に行ったものです。
この結果が示すのは、「系列」に頼った販売体制からの脱却が、運用会社の今後の大きな課題となるということです。運用実績が伸びている会社は、運用する投信の銘柄数を絞り込んだり、市場であまり注目されていない中小型株から、将来性のある有望な銘柄を独自に発掘したりする戦略が功を奏したと見られています。これは、市場の動きに追随するのではなく、真の成長を見極めるアクティブ運用(プロのファンドマネージャーが独自に銘柄を選定し、市場平均以上のリターンを目指す運用手法)の強みが発揮された結果と言えるでしょう。
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独立系・外資系の戦略が光る!驚異のハイリターン
運用成績で好調だったのは、主に国内独立系の運用会社です。特に目覚ましいリターンを叩き出したのは、2位のレオス・キャピタルワークスと3位のスパークス・アセット・マネジメントで、年間リターンは平均15%前後にも達しています。レオスは「ひふみ投信」、スパークスは「スパークス・M&S・ジャパン・ファンド」といった、その会社の「顔」となる看板投信が成績を牽引しました。レオス社の藤野英人社長は、「3年から5年の中長期的な視点で、業績の成長が期待できる銘柄に腰を据えて投資したことが、良い結果に繋がった」と述べています。
首位を獲得したSBIアセットマネジメントや4位の明治安田アセットマネジメントも、投資顧問会社のエンジェルジャパン・アセットマネジメントが助言を行う中小型株投信の成績が非常に好調でした。三菱アセット・ブレインズの斎藤恒彦執行役員は、「一般にはまだ注目度の低い中小型株の中から、成長の可能性を秘めた銘柄を見つけ出す能力が、運用成績の差に直結した」と分析しています。外資系では、JPモルガン・アセット・マネジメントが5位、BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンが6位にランクインし、「JPMザ・ジャパン」など、投資対象とする銘柄を厳選した集中投資型の投信が好成績の決め手となりました。
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国内大手が直面する「大型株」と「多すぎるファンド」のジレンマ
一方、大和証券投資信託委託や三井住友DSアセットマネジメントを含む国内大手6社すべてが、市場平均である日経平均株価のリターンを下回る結果となりました。国内大手は、自動車や電機、銀行など、時価総額(企業の株式の価値)が大きい銘柄を多く組み入れた大型株ファンドの比率が高い傾向があります。大型株は市場の関心も非常に高く、すでに多くの投資家が注目しているため、市場平均や競合他社を大幅に上回るリターンを確保することが難しくなっている現状が浮き彫りになったと言えます。
また、今回の調査では、運用する投信の本数が多いほど、運用会社全体の平均成績が低迷するという明確な傾向も見られました。平均すると、独立系は4本、外資系は11本に対し、国内大手は平均で42本もの投信を運用しています。ある大手運用会社の幹部は、「商品の品ぞろえの一環として、幅広いタイプの投信を運用するため、好成績を出しているファンドがその他の不振ファンドに埋もれてしまう」と苦しい胸の内を語っています。これは、多すぎるファンドが、本当に能力のある運用担当者を適切に配置する妨げとなり、結果として全体の成績悪化を招いている可能性を示唆していると言えるでしょう。
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系列依存の販売戦略が招いた「高値づかみ」の構造的な問題
国内の大手運用会社が多くのファンドを設定する背景には、証券会社など系列の販売会社の意向が強く働いていると見られています。京都大学の川北英隆名誉教授は、「国内の大手運用会社は、販売会社がその時々で売りやすいテーマ型投信を次々と設定してきた。しかし、そのテーマの**「旬」が過ぎると株価は下落しやすくなり、結果的に顧客に高値づかみ**をさせてきた側面がある」と厳しく指摘しています。これは、運用会社の都合や販売会社の販売戦略が、必ずしも顧客の利益に繋がっていなかったという、日本の投信市場が抱える構造的な問題を深く示唆していると考えられます。
さらに、運用成績が低迷しているにもかかわらず、小粒なファンドの併合(統合)が進まず、乱立している現状も問題です。本来、成績不振のファンドは統合・整理されるべきですが、それが進まないために、運用担当者の能力を成績の良いファンドに集中させるメリハリがつけにくくなり、全体の平均成績を押し下げています。金融庁は、2018年に銀行や証券会社などの販売会社に対して、顧客ごとの損益状況を示す**「共通KPI」(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の開示を義務付けました。また、運用会社に対しても、運用力を客観的に示す自主的なKPIの公表を促しており、これにより一定期間ごとの成績やリスクに見合った運用パフォーマンス**が比較しやすくなることが期待されます。
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読者の反響と賢い投資戦略:「投信選び」は運用会社の実力で
この記事の内容は、SNS上でも大きな反響を呼んでいます。「やっぱり大手はダメなのか」「ひふみ投信の成績は納得」「自分が買っているファンドの運用会社を改めて見直そう」といった声が多く見られ、投資家が投信選びにおいて運用会社の実績を重視し始めていることが伺えます。ただし、今回の調査は過去10年間の平均リターンであり、投資家が実際に購入したタイミングによって個々の運用成績は異なります。実際、好調だった「ひふみ投信」も、調査期間の最後の1年間では基準価格が約15%下落するなど、成績は常に変動するものです。
ドイチェ・アセット・マネジメントの藤原延介資産運用研究所所長は、「高値づかみをするリスクを避けるためにも、投資時期を一度に集中させるのではなく、分散することも必要だ」と指摘しています。この調査結果が私たちに教えるのは、投信を選ぶ際には、販売会社のブランドや目先のテーマに惑わされるのではなく、中長期的な視点で銘柄を見極め、運用本数を絞り込む独立系や外資系のような、真に運用力の高い会社を選ぶことが、成功への鍵となるということでしょう。
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