2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催がいよいよ来年に迫り、世の中の期待感が高まっています。しかし、華やかな祭典の裏側で、ある切実な問題が懸念されていたことをご存知でしょうか。それは、大会を運営する組織委員会で働くスタッフたちの「その後」です。
2019年5月27日、人材サービス業界を牽引するリクルートキャリアとパソナという、普段はライバル関係にある2社が手を組み、あるプロジェクトを発表しました。それは、組織委員会職員の「大会後のキャリア」を共同で支援するという画期的な取り組みです。
「使い捨て」にさせない、期間限定の熱き戦い
組織委員会で働く職員の多くは、大会終了とともに契約が切れる「有期雇用」の立場にあります。つまり、オリンピックという巨大プロジェクトが成功し、聖火が消えた瞬間、彼らは自分の次の仕事を探さなければならない運命にあるのです。国家的なイベントを支える彼らを、決して「使い捨て」にしてはならない。そんな危機感が、業界の垣根を越えた連携を生みました。
具体的な支援策は、2019年5月28日からスタートします。9月までの間に計10回の集合研修を行い、職員たちはそこから自分に合った回を選んで参加します。ここで重要なのは、単なる就職斡旋ではないという点です。「この歴史的な大会で何を学び、どう成長するか」という行動計画を、プロのキャリアアドバイザーと共に練り上げるのです。
さらに、大会が閉幕するまで3ヶ月に1回のペースで個別面談も実施されます。日々の激務の中で計画通りにスキルが身についているかを確認し、時には軌道修正を行うという手厚さです。これなら、目の前の業務に忙殺されがちな職員も、冷静に自分の未来を見据えながら働くことができるでしょう。
SNSでの反響と筆者が見る「人材のレガシー」
このニュースに対し、SNS上では「五輪スタッフが路頭に迷う心配をしていたから安心した」「ライバル企業が協力するなんて胸が熱くなる」「貴重な経験をした人が社会に還元される仕組みは素晴らしい」といった、好意的な反応が多く見られます。ブラック労働ややりがい搾取といった懸念が囁かれる中で、こうしたケアが発表されたことは、世間に安心感を与えたようです。
私自身、この取り組みは東京五輪が残すべき最も重要な「レガシー(遺産)」の一つになると確信しています。世界中が注目する極限のプレッシャーの中で、複雑なプロジェクトを完遂させた経験を持つ人材は、日本のビジネス界にとって宝のような存在です。
彼らがその経験を武器に、2020年以降の日本社会の様々なフィールドで活躍する。それこそが、真の意味でのオリンピックの成功と言えるのではないでしょうか。リクルートとパソナ、両社の手腕に大いに期待したいと思います。
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