長野県松本市を訪れたことがある方なら、一度はその名を目にしたことがあるはずです。豪快な見た目と香ばしい匂いで食欲をそそる、松本のソウルフード「松本山賊焼」。この愛すべき郷土料理に、新たな勲章が加わりました。2019年5月27日、日本記念日協会は、毎年3月9日を「松本山賊焼の日」として正式に登録・認定したのです。
この認定の裏には、地元飲食店の熱い想いと、少しクスッとしてしまうような言葉遊びが隠されています。日付の由来は、山賊の「さん(3)」と「ぞく(9)」という語呂合わせ。なんともシンプルで覚えやすい理由ですが、松本市内の飲食店や旅館でつくる「松本山賊焼応援団」が10年以上前から提唱し、地道に普及活動を続けてきた悲願が、ついに結実した瞬間と言えるでしょう。
「焼く」のに「揚げる」?山賊焼の不思議な魅力
ここで改めて、「山賊焼」という料理について解説しておきましょう。名前には「焼」と付いていますが、実はこれ、鶏の一枚肉(モモやムネ)を丸ごと油で揚げた料理なのです。すり下ろしたショウガやニンニクを効かせた醤油ベースのタレにじっくりと漬け込み、片栗粉をまぶしてカラリと揚げる。外はサクサク、中はジューシーな、いわば「特大の鶏唐揚げ」のような存在です。
なぜ揚げ物なのに「焼き」なのかには諸説ありますが、「山賊は物をとりあげる(鶏揚げる)」というダジャレから来ているという説が有名です。今回の「3月9日」という日付といい、松本の人々は言葉遊びとユーモアを愛する粋な気質を持っているのかもしれません。
SNSでの反響とコラムニストの視点
この記念日登録のニュースに対し、SNS上では早くも胃袋を刺激された人々からの反応が相次いでいます。「名前を聞いただけでビールが飲みたくなる」「3月9日は唐揚げじゃなくて山賊焼を食べなきゃ」「記念日認定おめでとう!次の旅行は松本で決まり」といった、祝福と食欲が入り混じったコメントが多く見受けられました。
私自身、この動きを非常にポジティブに捉えています。地方の食文化は、その土地へ足を運ぶための強力な動機付けになるからです。「松本山賊焼応援団」の方々も、「一人でも多くの人に知ってもらい、本場の松本に食べに来るきっかけになれば」と語っています。単なるグルメブームで終わらせず、地域全体の観光資源として育てようという気概を感じます。
次の3月9日はまだ少し先ですが、記念日が制定されたことで、これから一年を通じて様々なキャンペーンやPRが行われることでしょう。ニンニク醤油の香ばしい匂いに誘われて、国宝・松本城の城下町を散策する。そんな美味しい休日の過ごし方が、令和の時代の新しいスタンダードになるかもしれません。
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