「働き方改革」という言葉が叫ばれて久しいですが、地方の中小企業にとって、それはまだ遠い世界の出来事のように感じられていないでしょうか。人手不足は深刻化する一方なのに、現場はアナログな事務作業に忙殺されている。そんなジレンマを打破する希望の光が、2019年5月28日、コンサルティング業界の老舗から差し込みました。
中堅・中小企業コンサルの雄であるタナベ経営が、業務の自動化を支援するキューアンドエーワークスと業務提携を結んだのです。狙いはズバリ、地方企業の「事務作業のロボット化」です。
大企業だけの特権じゃない。「RPA」が地方を救う理由
今回の提携のキーワードとなるのが「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」です。少し難しそうな響きですが、簡単に言えば「パソコンの中にある事務用ロボット」のこと。経費精算やデータ入力といった、決まった手順の単純作業を、人間の代わりに猛スピードで正確にこなしてくれる頼もしい相棒です。
これまで、こうした最先端の自動化技術は大企業の専売特許のようなところがありました。資金力があり、専門部署がある会社しか導入できなかったのです。実際、タナベ経営の担当者も「地方の中堅・中小企業向けには(RPA導入を)聞いたことがない」と語るほど、そこには大きな空白地帯が広がっていました。
今回の提携は、その空白を埋める画期的な一手となります。タナベ経営が長年培ったコンサル力で「どの業務を自動化すべきか」という課題を整理し、キューアンドエーワークスがその実装を技術面で支える。まさに「知恵」と「技」の融合によって、地方企業に眠る非効率な業務を一掃しようというわけです。
私はコラムニストとして、この動きを強く支持します。日本の企業の99%以上は中小企業です。彼らの生産性が上がらなければ、日本経済の底上げはあり得ないからです。RPAは単なるコスト削減ツールではなく、社員を単純作業から解放し、よりクリエイティブな仕事に向かわせるための「時間創出マシン」になるはずです。
初年度100件の導入を目指す、本気の全国展開
このプロジェクトは、単なる構想段階ではありません。2019年度中にサービスを開始し、初年度だけで100件の導入を目指すという具体的な目標が掲げられています。既に2社が導入を決定しているとのことで、現場のニーズの高さがうかがえます。
今後はタナベ経営が持つ全国10の拠点で説明会が開催される予定です。これまで「ITなんて分からない」と敬遠していた地方の経営者たちも、目の前で業務が自動化される魔法を見れば、意識が変わるのではないでしょうか。
また、タナベ経営は5月27日に、スタートアップ支援を手掛ける「プラグ・アンド・プレイ・ジャパン」ともパートナーシップ契約を結んだと発表しています。これにより、ブランディングや人材育成に強いベンチャー企業を中小企業に紹介するルートも開拓します。
SNSやネット上では、一連のニュースに対して「毎日のコピペ地獄から解放されたい」「うちの社長にもRPAを教えてあげてほしい」「事務員が本来の業務に集中できるなら大歓迎」といった、現場の悲痛な叫びにも似た期待の声が多く上がっています。
ロボットとベンチャーの力を借りて、地方の中小企業が生まれ変わる。そんな「令和の産業革命」が、ここから静かに始まろうとしています。
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