2019年05月30日、令和最初の5月も終わりに近づく中、債券市場では静かなる攻防が繰り広げられています。長期金利の指標となる「新発10年物国債」の利回りが、前日よりも上昇し、マイナス0.085%(プラス0.015%幅の上昇)となりました。金利の世界では「利回りの上昇」は「国債価格の下落」を意味します。つまり、今日は国債が売られたということです。
なぜ、投資家たちは国債を手放したのでしょうか。その背景には、前日に金利が約2カ月ぶりの低水準まで急低下したことがあります。債券価格が急ピッチで上がりすぎたため、市場には「さすがに高すぎるのではないか」という「高値警戒感」が広がりました。加えて、海外市場でも米国債の上昇が一服したことで、日本の投資家も利益確定の売りに動いたというのが、今日の一連の流れです。
「マイナスでも金利上昇」という不思議な現象
「金利が上昇した」といっても、水準は依然として「マイナス0.085%」です。私たち一般生活者の感覚からすれば、お金を貸して金利を取られるという異常事態に変わりはありません。SNS上でも、このニュースに対し「金利上昇って言われてもまだマイナスかよ」「銀行預金の金利が上がる日は遠いな」「借金する側には天国だけど、運用難で地銀が心配」といった、複雑な心境を吐露する声が多く見られます。わずか0.015%の動きに一喜一憂するのは、プロの世界ならではの光景かもしれません。
コラムニストとしてこの市場の動きを見るに、投資家たちの心理は「恐怖」と「欲」の間で揺れ動いています。米中貿易摩擦などの先行き不安から、安全資産である国債を買いたい(金利低下)という本音と、短期的には行き過ぎた価格を調整したい(金利上昇)という理性がぶつかり合っているのです。今日は売りが優勢でしたが、世界経済の不透明感が晴れない限り、このマイナス圏での綱引きは当分続くことになるでしょう。
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