欧州連合(EU)の歴史に、新たな1ページが刻まれようとしています。2019年07月02日、ベルギーのブリュッセルで開かれた臨時首脳会議において、次期欧州中央銀行(ECB)総裁にクリスティーヌ・ラガルド氏を、そして欧州委員長にウルズラ・フォンデアライエン氏を起用する方針が固まりました。
この決定が実現すれば、2019年秋にはEUの主要ポストに史上初めて二人の女性が同時に就任することになります。これまで男性中心だった欧州の政治・経済の頂点に、しなやかで力強いリーダーシップが加わることは、世界中から大きな注目を集めていると言えるでしょう。
今回、ECB総裁に指名されたラガルド氏は、現在は国際通貨基金(IMF)の専務理事を務める人物です。一方のフォンデアライエン氏はドイツの国防相として手腕を振るってきました。まさに実力と経験を兼ね備えた二人が、欧州の未来を牽引するツートップとして選ばれたのです。
SNS上では「ついにガラスの天井が破られた」「欧州の新しい顔に期待したい」といったポジティブな反応が相次いでいます。その一方で、ドイツとフランスという二大強国がポストを分け合った形となったことに対し、他国からは「独仏主導の構図が強すぎる」との懸念の声も上がっています。
史上初の女性リーダー誕生がもたらす革新と、今後の課題
ここで、今回の重要ポストについて少し詳しく解説しましょう。欧州中央銀行(ECB)とは、ユーロ圏の金融政策を一手に担う「欧州の銀行の銀行」です。一方の欧州委員長は、EUの行政執行機関のトップであり、いわば「EUの大統領」に近い非常に強力な権限を持つ役割を指します。
ラガルド氏がECB総裁に就任すれば、金融の専門家ではない政治家出身の総裁として、市場との対話や政治的調整能力が試されるはずです。これは従来の枠組みを超えた、新しい形の金融政策が期待できる一方で、市場関係者の間では、その手腕を慎重に見極めようとする動きも見られます。
筆者の個人的な見解としては、この多様性の象徴ともいえる人選は、停滞する欧州経済に新しい風を吹き込む絶好の機会だと考えています。性別の壁を越え、純粋な能力でトップが選ばれることは、現代社会において極めて重要かつ当然の流れであるべきではないでしょうか。
しかし、道筋は決して平坦ではありません。フォンデアライエン氏の委員長就任には、欧州議会による承認が必要不可欠です。独仏主導の決定に反発する議員も少なくないため、2019年11月の正式就任に向けて、今後さらに激しい政治的な駆け引きが繰り広げられると予想されます。