2019年05月30日、誰もが知るあの有名なフレーズ「家庭教師のトライ」を運営する企業で、信じがたい不正事件が明るみに出ました。警視庁捜査2課はこの日までに、トライグループの元役員・鈴木貴博容疑者(43)と、元社員の中村暢孝容疑者(37)を詐欺の疑いで逮捕しました。教育産業という信頼が第一の業界で起きた、身内による裏切り行為。その手口はあまりに杜撰で、そして組織の闇を感じさせるものでした。
逮捕容疑となったのは、2015年から2016年にかけて行われた架空の人件費計上です。鈴木容疑者は当時、副業として個人的に英語教室を経営していましたが、そこで働く外国人講師ら4人が、あたかもトライグループで働いているかのように装ったのです。そして、その給与として約720万円を会社に振り込ませ、まんまと騙し取った疑いが持たれています。自分のビジネスの経費を、勤務先の会社に付け替えるという公私混同も甚だしい行為です。
上司の指示は絶対?「架空計上」という手口の悪質さ
ここで「架空計上」について少し解説しましょう。これは実際には発生していない費用や売り上げを、帳簿上あるように見せかける粉飾の手口です。今回のケースでは、元役員という立場を利用し、部下であった中村容疑者に指示を出して、経理担当者に嘘のデータを送信させていました。会社側からすれば、役員の承認印があるデータが回ってくれば、疑うことなく処理してしまうのが組織の常です。その隙を突いた犯行と言えるでしょう。
このニュースに対し、SNS上では驚きと呆れの声が広がっています。「トライといえばハイジのCMでおなじみなのに、裏ではこんなことが…」「教育を語る資格なし」「上司に言われて断れなかった部下も気の毒だが、共犯は共犯」といったコメントが相次ぎました。特に、有名なCMキャラクターを引き合いに出し、「おじいさん(会社)に怒られるぞ」と皮肉る投稿も見られ、ブランドイメージへの打撃は計り知れません。
被害総額は2300万円か?組織の腐敗を防ぐ難しさ
警察の調べによれば、今回の逮捕容疑以外にも余罪がありそうです。2013年から2016年にかけて、同様の手口で合計約2300万円もの大金が不正に引き出されていたと見られています。二人は2017年01月に退職していますが、その後、社内調査で不正が発覚し、警察への相談に至ったようです。
コラムニストとして私見を述べれば、この事件は単なる金銭トラブル以上の問題をはらんでいます。それは「上司と部下」という歪んだ関係性です。役員からの不正な指示に対し、部下はNOと言えたでしょうか。サラリーマン社会において、権力勾配を利用した犯罪は発見が遅れがちです。しかし、教育を志す企業幹部が私利私欲のために会社を食い物にしたという事実は、あまりに情けなく、子供たちに顔向けできない行為だと言わざるを得ません。
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