2019年5月30日、フィリピン中央銀行(BSP)のベンジャミン・E・ジョクノ総裁は、都内での日本経済新聞とのインタビューで、フィリピンの金融政策に関する注目すべき見解を披露なさいました。9日に決定されたばかりの政策金利の引き下げに言及しつつ、総裁は「金利水準は依然として高い」と述べ、市場に対して追加利下げの可能性を強く示唆したのです。これは、かつてインフレ抑制のために実施された引き締め政策から一転し、景気の下支えへと軸足を移す、フィリピン経済にとって重要な転換点になるでしょう。
フィリピンでは2018年に、急激な物価上昇、すなわちインフレーションを抑制するため、中央銀行が合計1.75%もの大幅な利上げを5回にわたって実施しました。しかし、その結果として物価の上昇は落ち着きを取り戻し、今度は経済成長率の伸び悩みが懸念される状況となっています。ジョクノ総裁が追加利下げの可能性を示したのは、この成長の鈍化に対応する姿勢を明確にしたものと拝察します。成長を優先するこの決断は、経済に活力を注入し、投資を促進する効果が期待されますね。
実際、中銀は2019年5月9日、政策金利である翌日物借入金利(オーバーナイト・リバース・レポ金利とも呼ばれる、中銀が市中銀行から資金を借り入れる際の金利)を4.75%から4.5%へと引き下げました。これは引き締め策からの大きな転換です。ジョクノ総裁は、足元の消費者物価指数(CPI、インフレの度合いを示す代表的な経済指標)の上昇率が、政府が目標とする2%から4%の範囲内に収まっていることを指摘しました。そのうえで、「4.5%という金利は、まだ経済の現状に比べて高く、さらなる利下げを行う余地は十分にある」と力強く語っていらっしゃいます。
フィリピン中銀は、利下げだけでなく、金融緩和の追加的な手段も講じています。2019年5月16日には、市中銀行が預金残高の一部として中央銀行に強制的に預け入れる比率である預金準備率(Reserve Requirement Ratio: RRR)を、従来の18%から16%へと引き下げる決定をしています。ジョクノ総裁によれば、この1ポイントの引き下げによって、約900億~1,000億ペソ(日本円で約1,900億~2,100億円)もの流動性(すぐに使える資金のこと)が市場に供給される見込みだそうです。これは、銀行が企業や個人への融資に回せる資金が増えることを意味し、経済活動を活発化させる効果があります。
さらに総裁は、自身の任期が終了する2023年までに、この預金準備率を「1桁台に下げる」という驚くべき目標も明らかにしました。これは、利下げと並行して、強力かつ継続的な金融緩和策を打ち出すという、中銀の断固たる意志を示すものです。私は、このような積極的な緩和姿勢は、フィリピンの力強い内需をさらに刺激し、アセアン諸国の中でも際立った成長を遂げるための強力な後押しになると確信しています。経済の体力を温存しながら、物価の安定と成長の両立を目指す総裁の手腕に、国内外からの期待が高まることでしょう。
このフィリピン中銀の金融緩和への転換は、SNSでも大きな反響を呼んでいます。「フィリピン経済、また伸びるぞ!」「これでペソ安になって輸出産業には追い風だ」「借入金利が下がるのはありがたい」といった、期待感を示す声が多く見受けられます。一方で、「利下げしすぎるとまたインフレが起こるのでは?」「新興国の金融政策は不安定で怖い」といった、慎重な意見も散見されます。しかし、物価安定という第一の関門をクリアした今、この成長志向の金融政策は、フィリピンの未来を切り拓く賢明な一歩だと私は考えます。
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