🔥中国ビール市場の常識が変わる!高級ビールで激化する3強のシェア争奪戦とハイネケン提携の衝撃

世界最大のビール市場として知られる中国で、いま、熱い戦いが繰り広げられているのをご存知でしょうか。かつては低価格帯が中心だったこの巨大な市場で、消費者の嗜好の変化を背景に「高級ビール」分野での競争が俄然激しくなっています。その主役は、中国市場を牽引する大手3社。それぞれが独自の戦略でシェア拡大を狙い、激しい攻防戦を展開しているのです。

特に注目すべきは、中国最大手である華潤ビールが仕掛けた大胆な一手でしょう。同社は2019年4月末、世界第2位のオランダのビール大手、ハイネケンとの資本提携を完了させました。ハイネケンが華潤ビールの親会社に約3,400億円を投じて株式40%を取得し、対価として華潤はハイネケンの中国事業を傘下に収めています。この提携の最大の目的は、華潤が本格的に高級ビール市場を開拓することに他なりません。

華潤ビールは、これまで主力ブランド「雪花(スノー)」を低価格で販売することで急成長を遂げてきました。しかし、その戦略の結果、「安っぽい」というブランドイメージが付きまとうようになり、自社で高級ブランドを投入する際も、あえて「華潤」の名前を伏せるほどでした。しかし、今回の提携により、世界的な知名度を誇る「ハイネケン」ブランドを中国国内で独占的に生産・販売する権利を獲得したのです。これにより、ブランドのラインナップに厚みが増し、消費者層の拡大が期待されます。華潤の候孝海最高経営責任者(CEO)は、決算会見で「4〜5つのハイネケンブランドを同時に中国で売っていく」と述べ、積極的なブランド展開の方針を明かしています。

華潤ビールは現在、東南アジアやオーストラリアへの輸出も行っていますが、売上高に占める割合は1%未満と非常に小さい規模です。提携によってハイネケンの持つ販売網を活用し、輸出を増やす構想も描かれてはいますが、候CEOは「中国市場が巨大で、海外展開はそこまで重要ではない」と発言しており、まずは足元の中国国内での高級ビール市場のシェア獲得を最優先する姿勢を明確に示しています。

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青島ビールとインベブの動向:高級路線への布石

この高級化路線は、華潤ビールだけにとどまらず、中国市場第2位の青島ビールにも波及しています。同社は2019年5月7日、本社の第3工場で新しい生産ラインを稼働させました。中国メディアの報道によると、今回の設備投資額は約13億円で、これにより工場の生産能力は約2割増加し、年間90万キロリットルにまで拡大した模様です。この第3工場は2000年代から繰り返し増産投資を行っており、今回は約5回目の規模拡大となります。生産品目は非公開であるものの、中高価格帯のビールが増産されるものとみられています。

青島ビールは2018年度の決算発表で、「中国ビール市場は潜在力がある。生産能力の強化や商品の改良を通じて成長できる」と強調しており、品質と生産体制の両面から市場の需要に応えていく考えです。事実、両社の中高価格帯の販売は非常に好調で、華潤ビールの2018年12月期売上高は前期比7%増の318億元、青島ビールも2019年1~3月期の売上高が前年同期比11%増の79億元と、いずれも業績を大きく押し上げています。消費者のお財布のひもが緩み、より質の高いものを求める「消費の高度化」が進んでいることが、数字からも裏付けられる状況です。

そして、世界最大のビール会社であり、中国市場で第3位につけるアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)も、この高級ビール戦争の勝者になるべく、大規模な戦略を打ち出しています。同社は、人気ブランド「バドワイザー」などを擁するアジア太平洋地域の子会社を、香港証券取引所に上場申請したのです。上場により約5,000億円もの資金を調達し、その資金を中国での販売強化や同業他社の買収など、アジア市場でのさらなる成長戦略に充てる計画です。インベブのカルロス・ブリト最高経営責任者(CEO)は、「上場を目指すのは、アジアでチャンピオンになるためだ」と、その強い意気込みを表明しています。

高級志向へのシフト:若者のビール離れがもたらす構造変化

このような大手3社の動きの背景には、中国のビール市場で起きている構造的な変化があります。イギリスの調査会社ユーロモニターによりますと、中国のビール販売量は2018年で約4,500万キロリットルとなり、これは2013年と比較して約1割減少しています。これは、若者の間でビール離れが進んでいることや、消費者の嗜好が多様化し、ワインやウイスキーなどの他のお酒に流れていることが原因と分析されています。

しかし、販売量が減っている一方で、販売額に目を向けると、2018年は約10兆円(約930億ドル)と、2013年と比べてなんと4割近くも増加しているという驚くべきデータが出ているのです。販売単価が上昇している主な要因は、まさに高級ビールの人気が高まっていることに他なりません。単に喉の渇きを潤す「飲み物」から、特別な時間を楽しむための「嗜好品」へと、ビールの価値そのものが変わってきていると言えるでしょう。

私見を述べさせていただくと、この「高級化」の流れは、中国の経済発展と所得向上に伴う必然的なトレンドであり、今後も加速していくはずです。特に、中間層の拡大により、「高くても美味しいものを飲みたい」というニーズはますます高まります。大手3社が巨額の資金と戦略を投じ、熾烈な競争を繰り広げているのは、まさにこの時代の変化に対応し、未来の市場を確保するための壮大な「賭け」なのではないでしょうか。この高級ビール市場の争奪戦は、これからも大手3社を軸として続き、中国のビール市場の景色を一変させることでしょう。

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