「雪の宿」や「ぱりんこ」といった国民的米菓で知られる大手メーカー、三幸製菓(新潟市)が、本業である米菓の製造・販売以外の領域で、新たな収益源の確立を目指し、フランチャイズチェーン(FC)加盟店事業を加速させています。これは、事業の多角化、つまり一つの事業に頼るのではなく、複数の異なる事業を展開することで経営の安定を図る戦略の一環と見受けられます。米菓業界で亀田製菓に次ぐシェア第2位を誇り、2018年9月期には過去最高の売上高533億円を達成した同社ですが、なぜ今、異業種への進出を強化するのでしょうか。その背景には、米菓で培った経営資源を最大限に生かしつつ、新しいノウハウを蓄積したいという強い意図があるのでしょう。
同社が特に力を入れているのが、健康志向の高まりを追い風にしたフィットネスクラブ事業です。現在、新潟市内で2店舗を運営している「エニタイムフィットネス」のFC店舗を、2020年末までに新たに5店舗オープンさせる計画を立てています。具体的には、2019年7月には黒崎店(新潟市)を、さらに年内には燕三条店(燕市)を開業予定とのことです。それに加えて、新潟大学前や新潟市中央区などでも既に用地を確保しており、2020年にはさらに3店舗を開業する青写真を描いています。この一連の積極的な出店攻勢に対し、総額5億から6億円を投じる予定で、これは同社がこの異業種事業を単なる副業ではなく、米菓に並ぶ「第二の柱」として本気で育成しようとする姿勢の表れと言えるでしょう。
フィットネス事業に加え、2019年には飲食業のFC加盟店展開にも乗り出しています。その第一弾として、2019年6月中にも新潟県阿賀野市で、だるまや(新潟市)が運営する人気ラーメン店「ちゃーしゅうや武蔵」を開店する予定です。さらに、年内には、高級食パンブームを牽引する「銀座に志かわ」を県内にオープンさせるとのことで、これは新潟県内では初出店となります。SNSでは、地元新潟のユーザーを中心に「三幸製菓がラーメン屋?意外!」や「あの高級食パンが新潟に来るなんて嬉しい!」といった驚きや期待の声が寄せられており、地域の話題としても大きな反響を呼んでいるようです。
これらのFC事業は、2013年に設立されたグループ会社のHAPPY CUBE(新潟市)が主導しています。同社は現在、フィットネスクラブの他にもインターネットカフェなどを手掛けており、2018年6月期の売上高は1億1200万円でした。しかし、三幸製菓はこの新規事業を大いに期待しており、2020年6月期には売上高を3億円まで引き上げたい方針を示しています。本業で培った経営力をバックボーンに、異業種のノウハウを貪欲に吸収することで、シナジー効果、つまり事業間の相乗効果を生み出そうとしているのでしょう。
FC事業への進出がもたらす企業と地域への貢献
三幸製菓は、これらのFC事業展開に際し、自社の遊休地、つまり現在は使用されていない土地も積極的に活用していく考えです。これは、固定資産を有効活用し、資産効率を高める賢明な経営判断と言えます。同社の総務課は、「食と健康、楽しさをテーマに様々な事業のノウハウを蓄積していく」と語っており、FC事業を新たな収益の柱へと育て上げる決意の強さが窺えます。私は、この多角化は、単なる収益向上だけにとどまらない、より大きな意味を持つと確信しています。
なぜなら、この事業拡大は、従業員の定年後の再雇用先の確保という、企業にとって重要な社会的な役割を果たすことにも繋がるからです。また、フィットネスクラブや地域に根差した飲食店の展開は、従業員のウェルビーイング(心身の健康と幸福)の向上だけでなく、地域の活性化や健康増進といった地域社会への貢献にも大きく寄与することでしょう。米菓製造で培った信頼と実績を土台に、新潟から全国へ向けて、食と健康、そして楽しさを提供する企業として、三幸製菓の今後の挑戦は、非常に注目に値する展開だと思います。
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