【2019年6月1日】フェイスブックは「ザッカーバーグ帝国」なのか?株主総会で露呈した絶対権力と深まる亀裂

シリコンバレーが揺れています。2019年06月01日現在、世界中で20億人以上が利用する巨大プラットフォーム、フェイスブック(Facebook)のあり方が、かつてないほど厳しく問われているのです。発端となったのは、先月30日にカリフォルニア州メンローパークで開催された株主総会でした。そこで繰り広げられたのは、創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏への集中砲火と、それをものともしない「鉄壁の守り」という、いささか異様な光景だったようです。

投資家や元幹部たちが抱く不満の核心は、ザッカーバーグ氏への過度な権力集中にあります。彼はCEO(最高経営責任者)でありながら、取締役会の議長も兼務しており、さらに「議決権の約6割」を一人で握っているのです。これは、他の株主がどれだけ束になっても、ザッカーバーグ氏一人の「No」には勝てないことを意味します。

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「皇帝」と化した創業者への懸念

総会では、しびれを切らした株主から「単刀直入に聞くが、会長職を辞めて議決権を譲る気はないのか」という鋭い質問が飛びました。しかし、会社側の対応は冷ややかなもので、「質問は一人一問まで」とスタッフが制止に入る場面もあったと伝えられています。まるで、王に意見する民衆を兵士が遮るかのような緊張感が漂っていたことでしょう。

ここで重要になるのが「コーポレート・ガバナンス(企業統治)」という言葉です。これは簡単に言えば、経営者が暴走しないように監視・監督する仕組みのことです。通常、健全な企業であれば、株主や取締役会が経営者にブレーキをかける役割を果たします。しかし、フェイスブックにおいては、ザッカーバーグ氏の権力が突出しているため、この自浄作用が機能不全に陥っているのではないかと懸念されているのです。

実際、今回の総会で提案された「企業統治を見直すための8つの株主提案」は、開始から1時間も経たないうちに全て否決されました。会社側、つまりザッカーバーグ氏の意思が色濃く反映された結果と言わざるを得ません。

相次ぐ不祥事と「解体論」の浮上

なぜ今、これほどまでに風当たりが強いのでしょうか。記憶に新しいのは、2018年3月に発覚した8700万件もの個人情報流出事件です。この不祥事以降、社会の目は厳しさを増しています。初期投資家のロジャー・マクナミー氏は「マークはいい奴だが、今や皇帝のような権力を持ってしまった」と嘆き、誰も彼に間違いを指摘できなくなっている組織の現状を危惧しています。

さらに衝撃的だったのは、創業者のひとりであるクリス・ヒューズ氏が、5月9日付のニューヨーク・タイムズ紙で「フェイスブックを分割すべきだ」と提言したことです。彼は、写真共有アプリの「インスタグラム(Instagram)」や対話アプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」を切り離し、巨大になりすぎた独占状態を解消すべきだと主張しています。

SNS上でも、今回の総会の様子を受けて様々な反響が飛び交っています。「ザッカーバーグはもはや国家元首気取りか」「プライバシーを軽視する姿勢が変わらないなら、アカウントを削除するしかない」といった厳しい声に加え、「便利なサービスを作ったのは彼なのだから、彼の自由にさせるべきだ」という擁護論も見られ、議論は平行線をたどっているようです。

編集後記:巨大な権力には巨大な責任が伴う

ザッカーバーグ氏は総会で「政府の規制は歓迎する」と述べましたが、これは穿った見方をすれば、規制を逆手にとって新規参入の障壁にし、自社の地位を盤石にしようとしているようにも映ります。シリコンバレーでは、成長期に創業者へ権限を集中させるのは珍しいことではありません。しかし、世界人口の4分の1に影響を与える規模になった今、その理屈は通用しなくなりつつあります。

私自身の考えを述べさせていただくならば、いかに優れたビジョナリーであっても、チェック機能の働かない権力は必ず腐敗のリスクを孕みます。20億人の「会話」と「プライバシー」をたった一人の判断に委ねる現状は、民主主義の観点からも極めて危ういと言わざるを得ません。フェイスブックが真に信頼を取り戻すためには、創業者が自らの特権を手放す覚悟を見せることこそが、最初の一歩になるのではないでしょうか。

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