2019年04月、日本の自動車業界に激震が走りました。東京にあるトヨタ自動車の直営販売店4系列が統合され、新たに「トヨタモビリティ東京」として産声を上げたのです。この統合に伴い、全国に先駆けてスタートしたのが、全店舗で全てのトヨタ車を購入できる「全車種併売」という画期的な仕組みでした。この大胆な挑戦は、開始からわずか数ヶ月で驚くべき成果を叩き出しています。
2019年07月05日、同社の片山守社長が語った手応えによれば、4月と5月の受注額は極めて好調な推移を見せています。昨年発売された新型クラウンの爆発的なヒットによる反動減を考慮しても、実質的な伸び率は前年同期比で15%増を記録しました。これは全国平均の約1割増という数字を大きく上回るもので、販売店統合による相乗効果が明確な数字となって現れた格好です。
「全車種併売」がもたらした顧客ニーズの劇的変化
ここで言う「全車種併売」とは、これまで店舗ごとに決まっていた取り扱い車種の制限をなくす試みです。例えば、かつては特定の高級セダンしか扱っていなかった店舗でも、最新のミニバンやコンパクトカーを自由に販売できるようになりました。この変化により、ユーザーは「どこのトヨタに行けばいいのか」と迷う必要がなくなり、利便性が飛躍的に向上したといえるでしょう。
SNS上でもこの変革は大きな話題を呼んでおり、「近所のトヨペットでクラウンが見られるのは本当に便利」「お店選びの基準が、車種ではなくスタッフとの信頼関係に変わる」といったポジティブな反応が相次いでいます。顧客が自身のライフスタイルに合わせた最適な一台を、馴染みの店舗で選べるようになったことこそ、今回の増収を支えた最大の要因ではないかと私は分析しています。
特に顕著な傾向として、大型セダンからミニバンへの人気シフトが挙げられます。2019年05月、かつては高級セダンの代名詞であるクラウンを主力としていた旧東京トヨタ自動車において、最も売れた車種は意外にもミニバンの「アルファード」でした。これは、販売網の垣根を取り払ったことで、潜在的なニーズが一気に表面化した非常に興味深い現象です。
サブスク「KINTO」で実現する安心安全な社会
また、トヨタが2019年02月から東京で先行提供を開始している「KINTO」にも注目が集まっています。これは車両代金や保険、税金などをパッケージにした「月額定額制(サブスクリプション)」で新車に乗れるサービスです。片山社長はこの施策について、約7年から8年とされる現在の平均的な車の乗り換え期間を短縮させる鍵になると期待を寄せています。
このサービスの真の価値は、単なる支払い方法の多様化に留まりません。新しい車への乗り換えが促進されることで、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)などの高度な安全装置を備えた車両が、新車市場のみならず中古車市場にも素早く流通することになります。最新の安全技術が社会全体に浸透することは、交通事故の低減という大きな社会貢献にも直結するはずです。
私は、トヨタが目指しているのは単なる「販売」ではなく、顧客が常に最新かつ安全な移動手段を享受できる「モビリティ体験の提供」であると感じます。サブスクリプションという形態は、特に所有にこだわらない若い世代にとって、クルマという存在をより身近なものに変えていくでしょう。ネット上でも「維持費の計算が楽で助かる」「常に安全な最新モデルに乗れるのは合理的」との声が広がっています。
2020年05月には全国展開も控えている全車種併売とKINTO。東京での成功は、これからの日本におけるクルマの売り方、そして乗り方を根底から変えていくプレリュードとなるに違いありません。トヨタモビリティ東京が示すこの新しいビジネスモデルは、時代のニーズに即した「ユーザー第一主義」の究極の形であり、今後の展開からますます目が離せません。
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