自動車業界に激震が走ったあの日から数ヶ月、日産自動車が新たな動きを見せました。日産は2019年05月31日、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)の2020年03月期の役員報酬について、前期の実績からなんと50%も減額すると発表したのです。これは、世間を騒がせた元会長カルロス・ゴーン被告による不正問題を防げなかったことへの「けじめ」であり、経営トップとしての責任を明確にする狙いがあります。
また同日、2019年06月25日に開催される定時株主総会の招集通知も公表されました。ここで注目されるのが、日産の企業統治(ガバナンス)のあり方を根本から変えるという決意です。具体的には「指名委員会等設置会社」への移行が提案されています。これは少し難しい言葉ですが、簡単に言えば、取締役の人事や報酬を決める権限を、社長などの執行側から切り離し、社外取締役が中心となる委員会に持たせる仕組みのことです。トップの独走を防ぐための、より透明性の高い体制と言えるでしょう。
社外取締役の増員と「会長職」の廃止
この新体制への移行に伴い、人事面でも大きな刷新が図られます。株主総会で提案される取締役候補11人のうち、社外取締役を現在の3人から一気に7人へと増員する計画です。これにより、経営の「執行」と、それを監視する「監督」の役割を明確に分ける狙いがあります。社内の論理だけで物事が決まることを防ぎ、外部の視点を大幅に取り入れようという姿勢の表れですね。
さらに象徴的なのが、かつてゴーン被告が君臨していた「会長職」の廃止です。その代わりに、取締役会の議長職を新設し、ここにも社外取締役候補であるJXTGホールディングス相談役の木村康氏の就任が有力視されています。また、仏ルノーからはジャンドミニク・スナール会長らが取締役に名を連ねる予定となっており、日産とルノーの関係性がどのように変化していくのかも注目されるポイントです。
業績悪化と再編の波、そして世間の反応
しかし、日産を取り巻く環境は決して甘くはありません。2020年03月期の連結純利益は前期比47%減の1700億円となる見通しで、これはリーマン・ショック直後の2010年03月期以来の低水準です。業績が低迷する中で、ルノーは欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との統合協議に入っており、業界再編の波も押し寄せています。SNS上では「報酬半減でもまだ高すぎるのでは」「金銭的な責任だけでなく、辞任すべきだ」といった厳しい声や、「膿を出し切って復活してほしい」という切実な意見が飛び交っています。
私個人の意見としては、西川社長の報酬返上は一定の誠意として受け止められるものの、本質的な問題解決には、失墜したブランドイメージの回復と現場の士気向上が不可欠だと感じます。単なる数字合わせのガバナンス改革ではなく、実際に機能するチェック体制を構築できるかが勝負の分かれ目になるはずです。2019年06月25日にパシフィコ横浜で開かれる株主総会では、株主から厳しい追及が相次ぐことが予想されますが、経営陣がどのようなビジョンを語るのか、しっかりと見届ける必要があるでしょう。
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