【2019年参院選】若者の7割が安倍政権を支持?「怒れる若者」が消え、世代間で広がる意識の「分断」と幸福度の正体

2019年07月04日に公示され、17日間にわたる熱い選挙戦が幕を開けた参議院議員通常選挙。日本の未来を占うこの戦いにおいて、今、有権者の意識にこれまでにない地殻変動が起きています。日本経済新聞社が2019年06月に実施した世論調査の結果は、多くの政治関係者に衝撃を与えました。なんと60歳以上の政権支持率が49%にとどまる一方で、20代の支持率は約7割という圧倒的な数字を叩き出したのです。

かつて、若者は権力に反旗を翻し、高齢層ほど保守政権を支えるというのが政治世界の「常識」でした。しかし、その構図は今や完全に逆転しています。SNS上では「今の若者は保守化したのか?」「現状に満足している証拠だ」といった驚きの声が上がる一方で、世代間の意識の乖離、いわゆる「ジェネレーション・ギャップ」による社会の分断を危惧する意見も散見されます。この現象の裏には、一体どのような背景が隠されているのでしょうか。

「不幸ではない」若者たちを支える良好な雇用環境

2019年06月25日、東京・渋谷の貸し会議室では、学生団体「ivote(アイ・ボート)」による勉強会が開催されていました。そこで語られた「特に困っていることはない」という若者の言葉は、現代を象徴しています。内閣府の調査でも、18歳から29歳の層で「生活に不満がある」と答えた人は、2016年から3年連続で20%を下回りました。これは、長く苦しい「就職氷河期」が終焉を迎え、若者の雇用環境が劇的に改善したことが大きな要因でしょう。

実際に、世帯収入の推移を2001年を基準として比較すると、29歳以下の層は2015年ごろから急速な回復を見せ、現在は基準値を上回る水準にあります。これに対して、中高年層の収入は依然として基準を下回ったまま推移しており、経済的な実感の差が政権への評価を分かつ結果となりました。若者にとっての安倍政権は、自分たちの生活基盤を安定させてくれた「恩人」に近い存在として映っているのかもしれません。

世界を揺るがす「デジタル・デバイド」と価値観の変容

世界に目を向けると、この世代間の分断はより深刻な形で顕在化しています。デジタル化やグローバル化という時代の荒波に対し、生まれながらにITに親しむ「デジタルネイティブ」な若者世代は柔軟に対応しています。一方で、これまでの成功体験や職を脅かされる高齢層や地方居住者は、変化に対して拒絶反応を示す傾向にあります。こうした「デジタル・デバイド(情報格差)」が、政治的な主導権争いを激化させる燃料となっているのです。

例えばアメリカでは、1981年から1996年に生まれた「ミレニアル世代」が、多様性や移民問題に対して非常にリベラルな考えを持っています。2018年のギャラップ社の調査によれば、この世代の5割以上が資本主義よりも「ソーシャリズム(社会主義的政策)」を好ましいと回答しました。これに対し、日本では若者が「改革」のイメージを安倍政権に重ねるという、欧米とは異なる独自の進化を遂げている点が非常に興味深いと言えます。

「現状維持」ではなく「変化」を求める若者の選択

日本の若者が安倍政権を支持する理由は、単なる保守化ではありません。2018年秋の調査では、外国人労働者の受け入れについて、70代が17%しか賛成していないのに対し、10代から30代は約4割が肯定的でした。消費増税や働き方改革など、痛みを伴う可能性のある政策に対しても、若者層ほど理解を示す傾向にあります。彼らは、グローバル化が進む世界に適応するための「アップデート」を、政権の政策に期待しているのではないでしょうか。

一方で、野党は「老後資金2000万円不足問題」を争点に掲げ、主に高齢層の不安に訴えかける戦略をとっています。2019年06月の調査で立憲民主党の支持率が70代以上で15%に対し、若年層ではわずか4%だったことは、野党のメッセージが若者に響いていない現状を如実に物語っています。私は、若者が「自分たちの未来への投資」を感じられない限り、この支持率の溝が埋まることはないと考えています。

シルバー民主主義が招く「見えない危機」への警鐘

日本は先進国の中でも政治的に安定していると言われますが、その水面下では「分断」の芽が着実に育っています。最大の問題は、若者の投票率が40%程度と低迷していることです。どんなに若者が政権を支持し、新しい社会の形を望んでも、実際の政治は投票率の高い高齢者の声に引きずられる「シルバー民主主義」から脱却できません。この不均衡が続けば、いずれ若者の不満が爆発し、欧米のような排他的なポピュリズムが台頭するリスクも否定できません。

編集者としての視点から言えば、今の若者は決して政治に無関心なのではなく、自分たちの生活実感に基づいた極めて合理的な選択をしています。しかし、その声が「数」の論理でかき消されてしまう現状は、民主主義の健全性という観点から見て非常に危うい状態です。今回の参院選が、単なる世代間の対立で終わるのではなく、全世代が日本の未来を真剣に語り合うきっかけになることを切に願ってやみません。

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