北海道の地域経済を支える足腰ともいえる、道内に本店を構える7つの信用組合。その2019年3月期決算の内容がすべて明らかになりました。長引くマイナス金利政策の影響により、本業での収益源である「利ざや」の縮小が止まらず、4つの信組が最終的な利益を減らすという厳しい局面を迎えています。
ここでいう「利ざや」とは、預金として集めたお金に支払う利息と、企業などに貸し出した際に受け取る利息の差額、つまり金融機関にとっての「利益の幅」を指す専門用語です。この幅が狭まることは、銀行や信組にとって体力を削られる死活問題に他なりません。SNS上でも「地元の信組が苦しそう」「金利が低すぎて経営が成り立つのか心配」といった、地域住民からの不安の声が散見されます。
2019年07月06日現在の集計によれば、貸出金の残高自体は多くの信組で増加傾向にあるものの、人口減少に伴う将来的な資金ニーズの冷え込みは避けられない見通しです。さらに、取引先の倒産などに備えて積み立てる「与信費用」の増加も懸念されており、これまでのビジネスモデルを根底から見直す時期が来ているといえるでしょう。
コスト削減の成果と、模索が続く収益源の多角化
厳しい状況が続く一方で、希望の光も見え始めています。各組合がここ数年取り組んできた固定費の削減が実を結び、経営効率が改善しているのです。例えば空知商工信用組合は、2019年03月期の決算で1億4200万円の最終黒字を達成しました。前期に実施した店舗統廃合によるコストカットが一段落し、赤字からの劇的なV字回復を遂げた形です。
本業の稼ぐ力を示す「実質業務純益」においても、興味深い動きが見られます。札幌中央信用組合は、窓口での手数料収入を増やす工夫や徹底した業務の効率化によって、この利益を44%も押し上げました。十勝信用組合も利息収入を堅実に伸ばし、6割近い増益を記録しています。このように、厳しい環境下でも「稼ぐ仕組み」を再構築した組織には強みが出ています。
しかし、北央、ウリ、釧路の3信組については減益を余儀なくされました。北央信用組合の担当者が語るように、資金需要そのものが前年より低下している現状では、単に融資を待つだけでは生き残れません。企業同士を繋ぐビジネスマッチングのような、コンサルティング能力を活かした新たな価値創造が、今後の地域金融には不可欠だと私は確信しています。
2019年10月に控える消費増税や、水産資源の不漁による景気への悪影響を懸念する声も現場からは上がっています。今後は単なる「金貸し」ではなく、地域の困りごとに寄り添うパートナーとしての資質が試されるでしょう。地域の灯を消さないためにも、各信組が知恵を絞り、独自の生存戦略を形にしていく姿を、私たちは注視していく必要があります。
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