🍣愛媛発の挑戦!中東ドバイで「みかん鯛」「宇和島サーモン」が食卓へ!和食ブームとハラル認証で狙う輸出10倍増

愛媛県宇和島市に拠点を置く水産商社、宇和島プロジェクトが、急速に和食人気が高まっている中東市場での事業拡大に本格的に乗り出しました。その第一歩として、アラブ首長国連邦(UAE)の経済の中心地であるドバイに初の海外支店を開設し、愛媛産のブランド養殖魚を中東の一般消費者に届ける輸出戦略をスタートさせています。これは、日本から遠く離れた異文化の地で、日本の「美味しい魚」を広める非常に意欲的な試みと言えるでしょう。2021年9月期には、中東での売上高を現在の10倍にあたる1億円にまで引き上げるという、力強い目標を掲げています。

ドバイに設立された海外支店は、ドバイ国際空港に隣接するフリーゾーン(経済特区)内に設けられました。この空港は、アジア、ヨーロッパ、アフリカを結ぶ世界最大の乗り換え拠点であり、その地の利を活かして、国際的な取引のハブとして機能させる狙いがあります。当初は現地採用の日本人社員1名で運営を開始しますが、今後の取引拡大の状況に応じて、人員の増強や現地法人の設立も視野に入れているとのことです。この戦略的な拠点開設は、海外市場への強いコミットメントを示しています。

宇和島プロジェクトが手掛ける養殖魚は、そのユニークなブランド展開で知られています。愛媛近海の生産者から魚を仕入れ、自社の加工場で新鮮なうちに切り身などに加工し、国内外のスーパーや飲食店へ販売しています。特に、飼料にみかんの搾りかすを配合することで、魚独特の臭みを抑え、爽やかな風味を加えた「みかん鯛(だい)」や「みかんブリ」、そして「宇和島サーモン」といったブランド魚は、同社の看板商品です。これらの付加価値の高い魚を、どのようにして中東の食卓へ浸透させるかが注目されます。

現時点で、中東にはドバイとサウジアラビアへ、冷蔵の切り身が少量ながら空輸されています。しかし、船便と比較して輸送コストが5倍以上となっており、たとえば「宇和島サーモン」は、現地の飲食店では国内価格の約2倍、1キログラムあたり6,000円程度で取引されている状況です。これでは、高級な日本食レストランや寿司店など、ごく一部の富裕層への提供に限られてしまいます。私は、このコストの壁を乗り越えることが、大衆市場を開拓する上での最大の鍵になると考えます。

そこで、ドバイに拠点を設けた大きな目的の一つが、スーパーマーケットなどでの一般消費者向けの需要開拓です。今後は船での冷凍輸送を取り入れることで、大幅なコストダウンを実現し、魚の価格を抑えられる見込みです。これにより、これまで価格の面で手が届きにくかった層にも、愛媛の美味しい養殖魚が行き渡る可能性が高まります。この流通経路の改善と価格の見直しが、2021年9月期に売上高1億円という目標を達成するための重要な一手となるでしょう。

中東への本格的な輸出を展開する上で、もう一つ重要な要素が、イスラム教の戒律に沿った「ハラル認証」の取得です。宇和島プロジェクトは、中東進出に備えて、すでに2016年に国内の魚類養殖業者として初めてこの認証を取得しています。ハラルとは、イスラム法において「許されている」という意味の言葉で、食品の場合は製造工程から食材に至るまで、厳しい基準をクリアする必要があります。天然魚は原則として問題ありませんが、養殖魚の場合、飼料に豚の成分が含まれていないことなどを厳密に証明しなければならず、この認証取得は中東市場でビジネスを行う上での絶対条件なのです。

中東への進出にあたっては、日本貿易振興機構(ジェトロ)から、現地の商習慣に関する説明などの手厚い支援を受けました。ジェトロの調査によると、UAEにある日本食レストランは2014年時点で約160店あり、毎年10店以上のペースで増加していることが分かっています。この数字は、中東地域での和食への関心と需要が高まっていることの明確な証拠です。一方で、現地の魚の消費市場規模はまだ小さく、日本の水産企業が本格的に展開している事例は少ないのが現状です。

私は、この「市場がまだ小さい」という状況こそが、宇和島プロジェクトにとって大きなチャンスだと捉えています。他社に先駆けて拠点を設け、ドバイを足がかりに市場拡大を見据えた決断は、非常に先見の明があると言えるでしょう。また、同社は海外戦略の強化の一環として、飼料にチョコレートを混ぜることで切り身の変色を防ぐ「チョコブリ」の本格販売も2019年秋から開始する予定で、北米などへの輸出も視野に入れています。

このような積極的な海外展開によって、同社は2020年9月期には、2018年9月期と比較して売上高を11%増の30億円にまで引き上げ、そのうち輸出比率を従来の3倍となる3割にまで高める方針です。愛媛の養殖技術と、みかんやチョコレートといった斬新なアイデアを組み合わせた付加価値の高いブランド魚が、世界、特に和食ブームに沸く中東の食卓を豊かに彩る日が来るのが楽しみでなりません。

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