2019年5月30日、自動車業界に激震が走るような重要な動きがありました。フランスのルノーは前日の29日、連合を組む日産自動車、三菱自動車のトップに対し、欧米のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との統合協議を進めることへの賛同を求めたのです。このルノーとFCAの経営統合が実現し、日産・三菱自を合わせた「4社連合」が誕生すると、新車の世界販売台数はなんと年間1500万台という、自動車業界では最大級の巨大グループが誕生する見通しとなります。この数字は、まさに世界市場の勢力図を塗り替えるインパクトを秘めていると言えるでしょう。
この統合は、日産や三菱自動車にとって、特に部品調達におけるコスト削減という非常に大きな利点をもたらすことが期待されています。自動車の生産には膨大な種類の部品が必要ですが、グループ全体の生産規模が拡大すれば、一度に大量に発注できるため、仕入れ値(調達コスト)を大きく引き下げることが可能となるのです。これは、収益性の改善に直結する、無視できないメリットでしょう。しかし、その一方で、現在の「日仏3社連合」と比較して、新連合における日本勢、特に日産の存在感が低下してしまうのではないかという懸念も指摘されています。
日産はルノーに対して15%を出資する株主ではありますが、残念ながら現在の取り決めでは議決権を持っていません。そのため、仮に日産がこの統合に反対の意向を示したとしても、ルノーとFCAの経営統合そのものに直接的な影響を与える力はないとされています。しかしながら、ルノーとFCAが統合による相乗効果、すなわち「シナジー」を最大限に引き出すためには、日産の協力は必要不可欠な要素です。これは、1999年から続くルノーと日産の強固な資本業務提携関係の中で、部品の共同調達や新車開発の段階的な一本化といった連携が、既に長年にわたって進められているためでしょう。
こうした状況の中、日産は統合がもたらすメリットとデメリットを慎重に見極めたいという考えであると推測されます。当日の5月30日、日仏3社連合は、横浜市において連携強化策を話し合うための定例会議である「アライアンス・オペレーティング・ボード」を開催しました。この会議に先立って、ルノーとFCAの統合に関するトップ会談が設けられました。会談には、日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)、三菱自の益子修会長兼CEO、そしてルノーのジャンドミニク・スナール会長とティエリー・ボロレCEOら、各社の主要なトップが顔を揃えて議論を行ったとのことです。
💡日産にとっての「メリット」と「懸念点」:巨大連合の光と影
今回の巨大連合構想に対するSNS上での反響を見てみると、「部品コストの削減は絶対的なメリット」「規模の経済は競争力維持に不可欠」といった、メリットを評価する声が多く見受けられます。しかし、「ルノー側の都合で日産が振り回されているのではないか」「議決権のない日産の立場がさらに弱体化するのでは」といった、日産の立場や将来に対する懸念の声も目立っていました。私自身の意見としましては、自動車業界が「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる新たな技術革新の波に直面する中で、開発コストや投資の負担は増大する一方であり、販売台数1500万台規模の巨大連合によるスケールメリットは、生き残りのための「武器」として極めて重要であると考えます。特に、技術開発における協力体制が確立できれば、競争力を大きく高めることができるでしょう。
一方で、日産の持つ優れた技術力やブランド力が、統合の過程でルノーやFCAに吸収され、その独自性や「存在感」が失われることだけは避けなければならない課題だと思います。日産は、ルノーとの長年の提携関係によって培ってきた協力体制を最大限に活かしつつ、FCAという新たなパートナーとの関係構築において、自社の将来にとって最善となるよう、明確な戦略と強い交渉力をもって臨む必要があるでしょう。この統合の行方は、日産のみならず、日本の自動車産業の未来を左右する重大な局面になると言っても過言ではないでしょう。
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