金原瑞人が語るサブカルチャーの原点!「ガロ」や「COM」の切り抜きが繋ぐ翻訳家への道と高橋留美子への熱い想い

優れた翻訳家として知られる金原瑞人氏が、2019年07月08日に自身の原体験ともいえるマンガへの深い愛着を語りました。幼少期の金原氏は、本よりも「冒険王」や「少年マガジン」といった雑誌に夢中になる典型的なマンガ少年だったといいます。しかし、中学生になると同時にあれほど熱狂していたマンガから突然距離を置くようになりました。代わりに心を奪われたのは翻訳ミステリやSFの世界であり、この転換が後のキャリアに繋がる重要なステップとなったのは間違いありません。

活字の世界に没頭する一方で、金原氏は古本屋の片隅で運命的な出会いを果たします。それは当時、独自の表現で異彩を放っていた伝説的なマンガ雑誌「ガロ」でした。ページをめくると、そこには主流の少年誌とは一線を画す「ひとり一派」と呼ぶべき個性派作家たちの作品がひしめき合っていたのです。雑誌の半分を占める白土三平氏の存在感もさることながら、それ以外の作家たちが放つ独特の空気に、金原氏は瞬く間に魅了されていきました。

「ガロ」に続いて「COM」といった、いわゆる「サブカルチャー」の先駆けとなる雑誌にも手を伸ばし、再びマンガの迷宮へと足を踏み入れます。サブカルチャーとは、メインストリームとは異なる独自の価値観を持つ文化を指しますが、当時の金原氏にとってこれらは未知の刺激に満ちた宝箱だったのでしょう。SNS上でも「金原先生のルーツがガロだったとは意外すぎる」「あの感性はここから育まれたのか」といった、驚きと納得の声が数多く寄せられています。

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手元に残した時代の記憶と劣化する紙の儚さ

大学時代を迎えた金原氏は、増え続ける蔵書を整理する中で、お気に入りの作品だけを「切り抜く」という独自の保存方法を思いつきました。林静一氏やますむらひろし氏、さらには「少年サンデー」に掲載された高橋留美子氏の「人魚シリーズ」など、ジャンルを問わず心に響いたページを丁寧に集めたのです。しかし、本業の書籍や雑誌も加速度的に増えていく中で、この切り抜き作業は結果として一時期の情熱的な試行錯誤に終わることとなりました。

改めてこれらのコレクションを取り出してみると、月日の流れは残酷にも紙を茶色く変色させ、触れるたびに屑が舞うほど劣化が進んでいたといいます。当時の印刷技術や紙質では避けられない宿命ですが、金原氏はそのボロボロになった紙片に対しても、言葉では尽くせないほどの強い思い入れを抱いています。物質としては滅びゆく運命にあっても、そこに刻まれた物語や革新的な表現の数々は、今もなお彼の表現者としての根底に息づいているはずです。

個人的な見解を述べさせていただけるなら、金原氏が「ガロ」のような尖った文化に触れた経験は、翻訳という「異なる感性を繋ぐ仕事」において大きな糧になったと感じます。主流に背を向けた表現者たちの意図を汲み取る力は、名作文学の深層を読み解く力と地続きではないでしょうか。劣化した紙の屑は、彼が費やした膨大な読書時間の証左であり、その重みこそが現在の洗練された翻訳を生み出す原動力になっているのだと確信しています。

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