日本経済新聞社が2019年07月08日に発表した「2018年主要商品・サービスシェア調査」の結果は、まさに世界の産業地図が激変していることを如実に物語っています。全74品目のうち、実に10品目でトップの座が入れ替わりました。この変化の背景には、各企業がリソースを特定の分野へ集約させる「選択と集中」という経営戦略が鮮明に表れています。SNS上でも、長年首位に君臨していた企業の交代劇に対し、驚きの声が多く寄せられました。
今回の調査で最も象徴的だったのは、発電用大型タービン市場におけるドラマチックな首位交代です。三菱日立パワーシステムズ(MHPS)が45%という圧倒的な市場占有率を記録し、調査開始以来、初めて世界一の座に輝きました。これまでは米国の巨頭ゼネラル・エレクトリック(GE)が王座を守り続けてきましたが、同社は収益性の低い受注をあえて絞り込むという抜本的な事業構造改革を断行しています。その結果、GEのシェアは半減するという衝撃的な結果となりました。
ここで専門用語について少し触れておきましょう。「シェア(市場占有率)」とは、ある特定の市場全体において、その企業の製品がどれくらいの割合を占めているかを示す指標です。一方、「選択と集中」とは、企業が限られた資金や人材を、将来性の高い得意分野にのみ投下し、それ以外の事業を売却したり縮小したりする手法を指します。今回のGEの戦略は、まさに短期的な数字よりも長期的な体質改善を優先した、苦渋の、しかし決断力のある選択だったと言えるでしょう。
デジタル家電と医薬品業界を揺るがす再編の波
技術の進化が著しいデジタル分野でも、大きな動きが観測されています。仮想現実を体験できるVR(バーチャルリアリティ)ヘッドセット市場では、ソニーが首位を堅持しました。ソニーは単にハードウェアを販売するだけでなく、対応するゲームソフトなどのコンテンツ拡充に全力を注いでいます。利用者が「その場にいるような感覚」を味わえるVRの世界において、豊かなソフト群が強力な武器となり、消費者の心を掴んで離さない状況が続いているようです。
さらに、一般用医薬品の分野でも大規模な地殻変動が起きています。こちらでは下位にいた企業が「M&A(企業の合併・買収)」という手法を用いることで、一気に勢力図を塗り替えました。M&Aは、他社の技術や販路を丸ごと手に入れることができるため、スピード感が求められる現代のビジネスにおいて非常に有効な手段です。ハードディスクドライブ(HDD)業界も含め、多くの企業が生き残りをかけて自らの強みを再定義している様子が伺えます。
編集者としての視点から述べさせていただきますと、現在の世界市場はもはや「全方位で勝つこと」が困難な時代に突入しています。MHPSが首位に立ったのは日本の技術力の勝利ですが、一方でGEのように「あえて首位を譲ってでも筋肉質な経営を目指す」という姿勢も、一つの賢明な生存戦略です。シェアの順位という表面的な数字以上に、その裏側にある企業の「何を捨て、何を守るか」という意志を読み取ることが、今後の経済を予測する上で欠かせない鍵となるでしょう。
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